日本が人質の解放に身代金を支払うとか、自衛隊を撤退させるとかしていたら、世界中で日本人が誘拐のリスクを負い、日本の自衛などはいとも簡単に骨抜きにできると世界中から認識されてしまう瀬戸際だったあの事件。あの事件は全日本国民の将来を危機的にする危険性をはらんでいた。3人が日本国民を危機にさらした責任はどうなのだろう。
海外のメディアの伝え方も論じられているが、日本政府は日本人を一人も死なせてはいけないと渡航を控える勧告を出し、それを無視した日本人を救おうと四苦八苦しているのに、既に1,000人以上のアメリカ人がイラクで死亡していても、それは覚悟の上だという国の国務長官から、3人の日本人が非難された事を批判される筋合いもない。そして、バッシングは、国民の問題というよりは、視聴率が上がるから、あるいは政治に利用できるからと著者の家族を出演させたTBSなど日本のメディア自体の問題ではないだろうか。あの時、TBSが家族を出演させなければ、バッシングの問題がこれほど大きくならなかっただろうと思うのは私だけだろうか。「今世界中で絶対に安全という場所は無く、子供をハワイに行かせるにしろ、渋谷に行かせるにしろ、危険は付いてまわるので、子供をイラクに行かせたことをそんなに非難してはいけない」というようなことを言っていたTBSの某キャスターのコメントも支離滅裂なものであった。
私自身、イラク侵攻においてアメリカを支持するつもりは全くないが、共産党系の弁護士団体である自由法曹団に所属している女性弁護士や、「自己責任論」を「自衛隊撤退論」にすりかえ利用する編集者たちに客観的な編集ができるのだろうかという疑問も残る。そして「自衛隊撤退論」へのすりかえ論者たちは、イラクに派遣されている自衛隊が現地の子供達に「ねぶた祭り」を紹介したり、サマワン診療所を補修したり、サマーワ女子校を竣工したりなどのイラク復興業務をしているだけなのに、まるで自衛隊がイラクの上空から爆弾を落としているかのごとくに自衛隊派遣を論じているのも滑稽だ。