双葉十三郎氏絶賛の名作
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この作品は、2万本以上の映画を観たと言われる映画評論家の双葉十三郎氏が、「恐怖の報酬」や「天井桟敷の人々」などとともに、ベスト15に入れている作品です。なのでかなり気合を入れて観ましたが、1度観ただけではその素晴らしさがよく分からず、自分の鑑賞力のなさを感じることになりました。でも映画ファンなら観ておくべき作品ではないでしょうか。ちなみに双葉氏著『外国映画ぼくの500本』(文春新書)では、「インドの色彩と音楽と思想があいまって、劇映画というより作品全体がまるで悠久の大河のようだった。ぼくは静かに幾度も噛みしめて見ないではいられなかった。機会があったらぜひごらんになってください。あらためて考えてみると、ルノワールは人間を凝視し、小説でやることを映像で表現した人だと思う」とこの作品について書いています。
大好きな映画
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ルノワール作品はこのメーカーのシリーズで「ゲームの規則」も手に入ります。ワンコインDVDとは思えない高画質で驚きます。特にこの「河」は素晴らしい色彩が楽しめます。ボックスセットでつまらない作文を付録にしてルノワールを出している某書店はどうしてあんなに高額になるのか理解に苦しみます。このディスクは特典なし、チャプターなし、くだらない評論家の作文集なし、映画鑑賞をする上で全く問題ありません。
素晴らしいのひとこと
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私にとってどの作品を観てもうならせてくれる映画監督の一人がジャン・ルノワールです。彼が戦後、ロスアンジェルスの花屋さんたちからの資金提供を受け、完成させた映画がこの「河」だということです。(本当は重要な出資者の一人が花にまつわる仕事をしていたというのが真相のようですが。)ルノワールがインドを作品の背景に選んだのはこの国の持つ色彩にあったのだそうです。また自然主義者であったルノワールにとって人と自然とが渾然一体となったインドという国こそ、映画の題材として最適であったのでしょう。文字通り河の流れとともに作品は進行していきます。少女たちの初恋の物語の背景には、インド的、西洋的価値観をともに超越した河の流れのような普遍的哲学がしっかりと刻印されています。人間にとって大切な根っこを押し付けることなく、自然の美の力を借りて表現するルノワールの作家としての力量にあらためて敬意を表します。