大学生の恒夫は、乳母車に乗って祖母と散歩するのが日課の自称・ジョゼこと、くみ子と知り合う。くみ子は足が悪いというハンディキャップを背負っていたが、自分の世界を持つユーモラスで知的な女の子だった。そんな彼女に恒夫はどんどん引かれていき、くみ子も心を許すが、ふたりの関係は永遠ではなかった。
『金髪の草原』の犬童一心監督が、田辺聖子の短編小説を映画化。くみ子演じる池脇千鶴は、関西弁でぶっきらぼうなくみ子の中の女性の部分をデリケートに見せて名演。妻夫木聡は、男の弱さ、ずるさ、情けなさを恒夫を通して見せていくが、恒夫が憎めない男になったのは、心の奥まで透けて見えるような彼の純な演技あってこそだろう。エロティックで美しくて切なくて泣けてしまうラブシーンも出色。恋愛の幸福感と背中合わせの残酷さを見事に描いた傑作だ。(斎藤 香)
別次元で共感
★★★★★
ジョゼたちとは違くとも、別のすれ違いや愛があれば何でも乗り越えられると思った時期はあるはず!
ある意味、全人類のあるある話だと思います。
大人の塗り絵的、ストーリー
★★★★☆
気になる女性が観たというので、自分も見てみました。
「大阪物語」で存在感を滲ませていた池脇さんの存在が
やはりこの映画全体を支えています。
全編通してリアルではあるけれど乾いた感覚を感じるのは
制作者側の意図だと想う。
賛否分かれる処だが、ジョゼと恒夫の1年間の生活を
割愛してある点。
挿入するエピソードいかんに因っては、ふたりの関係に
「濃度」を加味する事になるが、それを嫌ったのか
「一年後」として、省いてある。
※私個人で云えば更なるふたりの日常を観てみたかった想いも
正直残る。
当方40代男性)若さ故に将来を背負い込めない切なさも
自分の若かった頃の経験にもあり、確かに判る。
観た人に一種の共感を呼ぶのは、このストーリーは
輪郭ははっきりしているのに物語への色づけが極めて薄く、
(回想からの冒頭でもわかるように)エピソードをちりばめた映画
として、敢えてDry感に仕上げているからだろう。
観た人が自分の経験に照らし合わせることで色づけ出来るように
創られてるから移入してしまうのでしょう。自分も所々のシーンで
どうしようもない想いも含め、涙が溢れました。
「帰れと云われてほんまに帰るヤツは帰れ」
彼女の感情と脆さ寂しさが入り混じっていて
自分にはここら辺のシーンからが印象強かったです。
後ろ髪をひく男性心理と、前向きな女性の強さが対象的で
混在した佳作。
いい意味で裏切られた
★★★★★
邦画ラブストーリー・池脇千鶴演じるジョゼが障害者 という2点でしか情報をもたずに見ましたが、いい意味で裏切られました。思っていたラブストーリーとは全然ちがった。
ほんとにリアリティ溢れる映画で、優しさのなかのずるさや 正直になりきれなさ などなどせつなさやはかなさが言葉にできない描写で描かれている気がします。なので、ここでも上手く書けないですが・・ とにかく余韻がとてもある
誰かに勧めたい映画です
また、池脇千鶴がこんなに女優だとは思ってもいなかった。ジョゼのキャラは異質で印象的ですが、しっかりと確立していて、とても魅力的です。一風変わったキャラは印象に残りやすいのは当然ですが、彼女が演じなければここまで魅力的にはならなかったはず。とてもよかった
池脇千鶴のファンになりました。
切ない・・・だけではなく
★★★★★
映画を見て、泣いたのは初めてかも知れません。
最初はレンタルで見たのですが、もう一度見たくなってDVDを購入しました。
わざわざ買っても、一度見てそのままのDVDも多いのですが、見るたびにすこしづつ印象が変わって、何度も見てしまいます。
自分の恋愛を振り返っているかのように「あのとき、彼女はそう言っていたんだ・・・」と、気づいたりします。
それは、もうどうしようもない自分の思い出と重なって、すごく切ない気持ちになったり、逆にふっ切れた感じで気が楽になったりします。
特典ディスクに「救い」があるので、切ないままではつらい人はコチラを購入すると良いと思います。
虎と魚と男と女。 弱さとズルさと、寂しさと。
★★★★★
邦画界期待の若手ホープが集った映画が、
『ジョゼと虎と魚たち』だ。
物語は、大阪の大学に通う恒夫(妻夫木聡)が、
自称ジョゼと名乗る足の不自由なくみ子(池脇千鶴)と
偶然出会うことから始まる。
くみ子は、独特の世界を持つ知的で不思議な女の子だった。
付き合い始めたばかりの彼女がいながら、
そんなジョゼに引かれてゆく恒夫。
バカでスケベな今時の大学生を演じる妻夫木聡が良い。
彼の素直な演技が、男のズルさと弱さと、
真直ぐな優しさを伝えてくれるから、救われる。
ジョゼを演じる池脇千鶴も、兎に角凄い。
天才的な感性で、屈折しながらも真直ぐに恒夫を愛する
ジョゼのゆれる気持ちを画面いっぱいに伝えている。
また、恋敵きの 香苗を演じる上野樹里もいい感じだ。
ジョゼをビンタする二人の対決シーンは、見事だった。
両親に紹介しようとして出来ずに、思わずジョゼを抱きしめるシーンと、
「車椅子買おうよ。俺も年とるんだからさー」と言うシーンは、
どちらも恒夫の本心を描いている。
だからこそ、『僕が逃げた』の言葉と、
ラストの突然の号泣への伏線として成立するのだ。
また、脚本の渡辺あやも素晴らしいし、
『犬童一心』監督の演出も随所に冴えを見せる。
この映画は、障害者とSEXをテーマにしながらも、
安易な正義感やモラルで誤魔化さずに、
真直ぐに描いているから感動できる。
電動車椅子で一人疾走するジョゼの後姿に、
涙腺のダムも、思わず決壊!
うん、えーもん見せてもらいましたなぁ。
しかし、ロケ場所は寝屋川か枚方あたりかな?
と、真剣に探してたらエンドクレジットで東京ロケと判明。
怒るでしかし!!