英語が分からなくても味わえるかも!?
★★★★★
キングやクーンツといった後のベストセラー作家はみな口をそろえて言う。
「とにかく不思議な文体である」と。
ネイティヴたちがそう言って不思議がる文章なんて、とても大学受験いや高校レベルの人間が理解できるのだろうかなどと不安がいっぱいな中で本書を読んだ。
うん、実に不思議だ。シンプルな中学生レベルの単語で書いた詩のような短文がとにかく繰り返される。そういう一見幼稚とも思える文の行間から、知性と清涼感に満ちた感性が、筆者のような拙い英語力の人間にも伝わってくるのだから。文体自体がSFしている。
夢見た未来である21世紀と現実の21世紀とのギャップ
★★★★★
レイ・ブラッドベリの火星年代記は、30年以上も前に若者だった私にとって、読みたくても読めなかった本の1冊でした。その後、文庫で発売されたので今では手軽に読めると思いますが。
とにかくブラッドベリの代表作と言えば、「たんぽぽのお酒」や「華氏451度」、それからこの「火星年代記」をはずすことはできないのではないでしょうか。ともすると過剰にも思える比喩等から、英文では読めないかなと思っていましたが、意外と平易な文章でした。
それにしても、若い頃に読んだSF小説は西暦2000年前後の話が多く、21世紀が現実となった今読み返してみると、あのころに夢見た未来である21世紀と現実の21世紀とのギャップを楽しみながら読めるので面白いですよ。
とにかく秀逸
★★★★★
この本を読んだのは随分前になります。そんなに英語力も高くなかった時でしたが、そこかしこに昔滅んだはずの火星人がまだいるのではないか、地球人は何か悪いことをしてしまったのでは?という気にさせられたのを覚えています。まさに珠玉の短編集と言えます。もうSFの古典となっていますが、プロット自体は現在のスタートレックシリーズでも良く使われているものです。それほど新鮮な感じを受けるのは私だけではないと思います。そこはかとないもの悲しさ、警告、望郷とか、いろんな言葉が出てくるのが不思議です。