独特の緊張感
★★★★☆
1957から1958年に発表された短編集で、表題作の「硫黄島」は芥川賞を受賞している。
軍隊生活あるいはそれを引きずった戦後を題材としており、私自身、久しぶりにこの時代の本を手に取った。
「生きること」と「死ぬこと」をテーマにした本は今でも多いが、この本にはそれらに「殺すこと」と「殺されること」が加わり、独特の緊張感が伝わってくる。
が、読後感はというと、その緊張感がずっしりと錘のように引っかかっている。もし小説の中のシチュエーションに自分がいたらどのように行動するか想像することができないでいる。