『Love Letter』の岩井俊二が『スワロウテイル』との間に、人気シンガーCHARAをヒロインに撮った自主映画的アナーキーなメルヘン。妹を殺したココは、入院させられた精神病院で、ツムジとサトルという2人の青年と知り合う。
彼らは施設の塀の上を歩く探険を楽しんでいた。やがて、地球が滅亡するという妄想にとらわれた彼らは、滅亡を見届けるために、塀の外に出てはいけないという規則を守りながら、塀から塀へとつたって海を目指してピクニックに出かける。
ピクニックの間に出会うさまざまな人々との交流に、日常への批評を読みとることもできる哲学的な深みを、岩井の軽やかな映像がポップに仕上げている。なかでも鈴木慶一のとぼけた神父さんが印象的である。CHARAと浅野忠信夫婦の出会いの映画としても要チェックだ。(堤 昌司)
壁を越えていく
★★★★★
私は、うつ状態から抜けそうな時に見ます。しんどく、真っ暗闇のなかで、外界にでて行かなきゃならない時にココから勇気をもらうために。壁なんて越えていけばいいじゃん!いい眺めが見えるわよ。一緒に行こう!と言われてるみたいで。レビュー書いてる皆さんと同じで、壁を走るココの抜け感が爽快。重苦しい内容と反して。ずっと見る機会がなくなってしまったけど、私の心の壁をとっぱらってくれる映画です。とても短いのも気に入ってます。ぜひ、いま閉塞感でいっぱいで苦しんでいる人にみてほしいと思います。
きれい!
★★★★★
世界観が凄くすき(^O^)ラストがとても印象的でした。
地獄ごっこ
★★★★★
みなさん小学生位の時「あの車に抜かれる前にあそこの電柱にさわらなきゃ死んじゃう」と、もうそれこそ必死で全力で走って電柱に触ったことありませんか?ザ・ブリリアント・グリーンのボーカルカワセトモコはその一連の行動を”地獄ごっこ”と呼んでいるそうです。上手いこと言います。この人。子供は死に対しての恐怖心からこのような行動???をするようなんだけども…この映画は正に”地獄ごっこ”この塀から落ちたら死んじゃう。と子供達は必死です。落ちたらやっぱり死んじゃうのです。甘くないです。 子供の時の心理状態をうまく映像化した作品だと思います。 その時の気持ちとこの映画は宝物だな。。。
記憶の中で成長していく映画
★★★★★
正直、二回しか見ていません。
高校生の頃に岩井監督好きな友達の家で見て、最近自分でDVDを買って一回見ただけです。
ストーリーや台詞回しの細かい所は覚えていませんが、日常で目にした景色で不意にこの映画を思い出します。
そして本当にその景色が映画にあったのか、それとも記憶の中で勝手にこの映画と結び付けてしまったのか分からなくなりますが、確認の為に見直すよりも曖昧なままにしておきたい気がします。
監督の作品では他に「花とアリス」が好きですが、どちらもストーリーや台詞回し以上にイメージを繋いで作った映画、だと思います。
5年後くらいにまた見ようかな。
大都市の塀の上
★★★★☆
本作は日本橋をはじめとする東京メトロポリス、横浜、横須賀という大都市圏で撮影されている。しかしそれらを塀の上から見ると、こうも景色が違うものか。地面から数メートルしか違わないのに、空が近い感じ。岩井俊二&篠田昇&REMEDIOSのトリオによるこの実験映画的作品は、感動とか驚きとかを提供してくれるものではない。普段、塀の上というと刑務所のイメージしかないが、病院という隔離施設を同じような感覚で描いているのは面白い。ラストシーンは篠田昇らしい圧倒的な映像美で魅せるが、日本橋のシーンはいくら篠田でも上の首都高速は消し去れなかった。通常、仕事でこのあたりを歩くが、なぜに東京都は日本のシンボルの真上に首都高なぞ作ったのか。非常に邪魔である。特典映像を観ると、中央線沿線のシーンはゲリラ撮影で、あまりに電車に近づきすぎたため、中央線を止めてしまったというエピソードがあり、笑ってしまった。「打ち上げ花火」や「Love Letter]とほぼ同時期にこういう作品を作れるところが岩井俊二の凄いところである。