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深川澪通り燈ともし頃 (講談社文庫)

価格: ¥842
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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ほとんど江戸人情物一色の作品 ★★★★☆
連作短編集であった前著『深川澪通り木戸番小屋』とは違い
緩く繋がった二篇の中篇からなる一冊。
謎解きの要素はますます薄くなり、
煮炊きや雨降り対策といった日々の暮らしの描写がとにかく細かく、
ほとんど江戸人情物一色の作品に仕上がっている。

訳アリの木戸番夫婦が、人の心の機微に触れた方法で
損得だけでは解決できない感情の縺れを
地味に、しかし確実に癒していく。

文章に品位を保ち、饒舌すぎぬよう
語り口はシンプルながら平易では無い。
しかし貧しいながらも、日本人が理想とする
近世の日本人の姿、心意気がここにある。
ヒトは生きて、どれだけのものを喪っていくのだろう ★★★★★
この一連の物語の中で、やがて少しずつ、それでも決定的な事は何も語られる事のない木戸番小屋の夫婦の過去。
二人がかなり大きなものを、家族であるとか仕事であるとか、時代的には身分すらも、自分たちが自分たちとして生きるために喪ってきた事は、あるいは捨ててきた事は伺える。
そして二人は彼らに関わる人々を慈しむ。
どのような経歴であっても、それこそどんな駄目なやつでも、彼らの元に訪れるヒトを慈しむ。
小さな手助けや、とんでもない事件の起きた時ですら、夫婦は二人に関わった人々を見捨てる事はない。

それはかつて二人が歩んできた茨の道に似たものだったのかもしれないし、
ふつうに年を経た人間なら、穏やかに受けとめる事のできる事かもしれない。

江戸とかつて言われた、今の東京のちょいと昔。時代ではなく、この場所のことを。
北原亞以子先生は活写する。
善悪の基準、恥ずかしい、もったいない。そういうあたりまえな日本人の持つ感覚を、あたりまえに描き出す。

だから気持ちがいい。
伝えていかなければと目を三角にする前に、これからの時代を歩む人々に、この本を読んでもらえばいいと思う。

ヒトは生きていく上でたくさんのものを喪う。
親や、兄弟、お友達。
決定的な約束の上で生まれたから。
そして一番最後に、自分を喪う。

絶対の約束だから、忘れないようにしたい。
生んでくれた親の事も、愛した人も、楽しい時を一緒に過ごした友達も。
できるだけ覚えていたい。
さいごの最期まで。

そう、思いたくなる。
笑顔で。
と。
下町人情の機微 ★★★★☆
『無条件の愛』といっておかしければ、『無条件の同情』というものはあるのかもしれない。いや、『同情』ではない。でも「無条件」なのは確かだ。この夫婦にあるのはどういう想いなのだろう。

深川澪通りの木戸番夫婦の『この人に会えさえすれば』という政吉のお若の気持ち。今の深川よりももっと縦横に川があって、いくつもの橋を渡って、この夫婦に会いに行く気持ち。それは一言で言えば『ここにいてよかった』という気持ちなのだろう。単純だけれども、現代にそう言う場所はあるだろうか。『この夫婦が奇跡だからた。小説だからできるんだよ』というかもしれない。しかし政吉もお若も奇跡を起こすわけではない。夫婦に会うから何が変わるわけでもない。ただ、何かしら決定的な悲劇がこの夫婦がいたおかげで回避できたのかもしれない、と私たちがかってに思うだけだ。

江戸人の心境 ★★★★★
この本が私みたいな外国の人にとって大変役に立つ。まず、英語で書いてある江戸の生活についての本がまずあまりない。それに、北原さんの分かりやすくて、心のしみる書き方の為本を読まずにいられない。

日本で私が東京にしか住んだことがないので、その東京ーいわる”江戸”-をもっと理解するのにこの本がどれほど役に立ったか言葉でいえない。昔の人が大事にしたことが現代人と少しも変わったいないことがよく分かった。例えば、金、出世、愛、死についての考え方が今も変わっていいない。

最後に、こういう虚構の物語が面白くないと意味がない:この点につぃても北原さんがさすがに読者が同情できる人物を見事に作った。 機会があれば、是非この本を読んで見て下さい。