ビジネスとしてのメンタルヘルスケアが語られる
★★☆☆☆
会社のストレスに負けない、というタイトルからして、メンタルタフネスを強化するためのヒントのようなものを期待していたが違った。まず語られるのは現代の日本企業社会のストレスの危険さとメンタルヘルス産業の立ち遅れ。だから自分たちのようなカウンセラーが必要、という一種の業界PRである。立ち遅れに対する嘆き節が基調になっているので、現在悩んでいる方やうつ病の方は読まない方がよいと思う。
確かにアメリカのドラマなんかを見るとカウンセラーの存在がより身近なのが感じられる。それはアメリカ人がストレスに弱いのではなくケアが行き届いているから、というのはその通り。ただ、メンタルヘルスはQuality of Lifeに直結するものだし、ストレスの克服や回復、負の思考回路の改善など、自らメンタルタフネスを構築するのが本題であり、カウンセリングはその一環なのではないか。
中盤以降は認知療法、外資系企業の現状などメンタルケアの関連話題が随筆のように続き、終盤でEmployee Assistance Programについて語られる。うつ病の多さも自殺の多さも最早社会問題なのだとすれば、企業の人事部の方にはこのような本を手にとってもらって、決裁を得るための材料にするのが良いと思う。そういえば自分が本書を手に取ったのも、著者の渡辺さんの有料セミナーに参加できなかったことがきっかけだった。
古い本だけど、ガイドラインとしては良書
★★★★☆
僕自身がこの本を読んだきっかけは、メンタル面でなんとなく調子が悪かったからですが、読んでみると、うつ病についてやその予防について書かれているのはもちろん、現在の日本のメンタルヘルスの状況、経営者の視点から見たメンタルヘルスマネジメントの重要性まで書かれているのにびっくりしました。EAPについて知りたい人、ストレスを抱えてうつになりそうな人、そんな人が身近にいる人、つまりほとんどの人にオススメできる良書です。
あと、この本の付録にあるMTOPは、仕事に限らず何らかのストレスを抱えている人は一度試してみて下さい。認知療法という心理療法をベースにしたサービスです(無料版もあります)。僕の場合、劇的に、というわけではありませんが心身の負担は軽くなりました。
今すぐ指南書が欲しい人には不向き
★☆☆☆☆
前書きで柔道でいう「受け身ワザ」を身につけることすすめている。しかし、今、ストレスで悩んでいる人が欲しい本ではない。企業のメンタルタフネス系の部門に所属する方が当該知識を学ぶのに適当だ。
21世紀の企業社会の在り方を示唆
★★★★★
いろいろな面で不透明な将来を見据えた時、読書後これからの企業のありかたについても考えさせられました。著者の言う、ココロに備える「受け身ワザ」は言いえて妙、、、まさに働く者にはストレス予防の知識を知る為の絶好の入門書かも知れません。特に、長年のビジネス社会での実体験を基にした分り易いコメントは難解な専門書にはない具体性があり、首を振って頷く事が多かった。望む、望まざるとに拘わらずビジネス社会は今後益々の競争激化、そして国際化にも拍車がかかることでしょう。昨今広まってきた、グローバルスタンダード=国際標準化の波は、製品の品質・安全性・環境基準に始まり究極的には本書も指摘するような、経営者の従業員に対する姿勢も新たな基準となり、そしてそれは社会的な評価に耐え得るものかどうかが問われるであろう。本書にある、社員のメンタルへルスに対する考え方、取り組みかたはその大きな鍵となるのではないでしょうか。今後、企業は社会からどのような点で評価されてくるのか、また働く者としてどのような心構えで望めばよいのか等、本書は経営者・働く側双方にとって新たなヒントを満載している本でもある。
経営層及び管理職層にこそ読んで貰いたい
★★★★★
タイトルを見る限り、非管理職層を対象にした実践書という印象を持ちましたが、 組織体系や給与制度等とメンタルヘルスとの関係に言及するなど、むしろ、 経営層及び管理職層にとって自社の在り方を考えるための格好の材料になり得るものと感じました。
継続的なリストラや人件費削減を主目的とした成果主義の導入など、 企業で働く人々はこれまでの世代が抱えたことないレベルのストレスに晒されています。 本書の読後、今後より生産的な組織作りにはメンタルヘルスへの対処が必要不可欠 だと思いました。