呉訳、最高!
★★★★★
喉から手が出るほど欲しかった呉訳の再刊。少々お高いが、岩波版は古本屋でもなかなか見つからないので、この値段でも文句は言えない。字も大き目なので、電車の中で読むのも楽。
語順が日本語の文法に沿っていないので、馴れるまではやや読みにくい(この為、意味の取り易さの点では松平訳には負けると思う)。しかし、語順を犠牲にしたことによって、美しいリズム感をもった訳文になっている。「詩」である以上は、翻訳であってもこのくらいの韻律はあって然るべき。
「読み手がギリシアの神々とそれにまつわるエピソードを知っている」ことを前提に話が進んで行くので、ギリシア神話に関する一通りの知識が必要。ブルフィンチの「ギリシア・ローマ神話」を読んでおくことをお薦めする。さらに手元に、マイケル・グラント&ジョン・ヘイゼル共著「ギリシア・ローマ神話辞典」があれば完璧!