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日本の名随筆 (2) - 鳥

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: 作品社
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鳥(人)の心は人(鳥)に通じる? ★★★★★
「尾長」内田百閨cこの頃では、わたしはまだ下に降りようと、腹の中でさう思っただけで尾長は騒ぎ出すのである。それ気がつくと私はぞっとする事がある。どう云ふ事でそれが尾長に通じるのか、私には解らない。
「暗い鳥」岡本太郎…私はカラスを飼っている。その真黒な姿には、いちだんと哀感がある。…私は動物を飼うことは、どだい、あまり好きでない。変に人間になれた、愛玩用動物のいやらしさ。
「死を賭けた拓卵ー王様ペンギンの父性愛」中川志郎…オスが托卵したのである。この日から、オスは、卵を抱きつづけた。雨の日も、風の日も、動こうとはしなかった。二週間にわたる飲まず食わずの立ちずくめ。…死を賭してまで、自分の子に生命を与えようとした王様ペンギンに、ただ頭をさげた。「やはり、お前は王様だったよな」松本技師が、ポツンと言った。 
「こじゅけい」萩原葉子…八羽めの最後に残った雛が死んだ朝、今度は母鳥が雛と折り重なって無残な死に様をしていた。最後の力をふりしぼって雛を守り抜いて死んだのに違いなかった。まるで戦場のような不吉さが漂っていた。その中でおすは何事もなかったように、まるでせかせかと同じところを行ったり来たりしているだけだった。