自由に描く
★★☆☆☆
1961年に出た旺文社から出た単行本の復刊・文庫化。新たに描いた15枚の絵が加えられている。
ギリシア神話から32の物語を選び出し、現代日本語に書き改めたもの。かなり自由に書き換え・加筆を行っており、もとのままのギリシア神話を知りたい人には不向き。しかし、日本語・物語としては充実、面白くなっている。ストーリーを楽しみたい人は良い本だと思う。
ただ、私はかなり違和感を覚えた。書き込み過ぎというか、もとの話の不条理さや齟齬・矛盾が失われてしまっているように感じた。余計なフォローを加えているというか。
「子供の頃読んだ」からの入門編に。
★★★★☆
子供の頃に聞いた覚えのある有名なエピソードが、語られています。
ギリシア神話ではなく、その解説書と考えた方がいいかもしれません。長くて複雑でわかりにくいギリシア神話を、わかりやすく(作者独自の解釈も交えて)書いてあります。
著者の串田孫一氏は、文章表現力はとてもある人なので、わかりやすく気楽に読むことができる、それが最大のメリットだと思います。
注意しなければならないのは、作者は読者に語りかけるように書いていますから、原作に必ずしも忠実かどうかはわからないのです。大筋では間違いないのですが、細かいところを読むなら、別の本が必要でしょう。
でも、入門書としては最適だと思います。覚えのある名前の書かれた章をちょっと読んでみるのに、最適です。
勉強むきではない
★★☆☆☆
ギリシア神話の入門書だが、著者の解釈がかなり入っているという印象を受けました。
煩雑さはなく、有名なところを載せている本です。
わかりにくいということはありません。むしろ読みやすいくらいです。
しかし、この本を読んでギリシア神話が好きになれるかというと、かなりの疑問です。
著者は独自の世界観を持っているらしく、挿絵も自分で書いちゃったりしています。
ギリシア神話を楽しむというより、この著者の趣味を楽しみたい人は読んでください。
今までに書かれた最悪の「ギリシア神話」
★☆☆☆☆
ギリシア神話に関して知りたいという人には本書を読まないようにと老婆心ながら申し上げます。
著者が古典ギリシア語・ラテン語を読めないばかりか、ギリシア神話の何たるかさえ理解していないことは、火を見るが如く明らかだからです。
そのうえ古代ギリシア世界で倫理的にも、教育的にも、軍事・政治的にも高く評価され、称讃されていたパイデラスティアー(少年愛)、つまり男色を「気持ちが悪い」だなどと平然と公言して憚らない人物でもあります。
こうした差別的な宗教的偏見に歪んだ表記の書物は、「現在では人権問題を無視した作品である」とさえ言ってよいでしょう。
え~!
★★★★★
聖書の創世記、古事記、ギリシア神話、それぞれの逸話の共通点を考えると、もしかして聖書に書かれている事は?バベルの塔は?などと、妄想力を刺激してくれます。ネイティブアメリカンの創生神話も含め、世界各地に存在する数々の神話に本当の真実が隠されているのかも知れません。