インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

スポーツを「読む」 ―記憶に残るノンフィクション文章讀本 (集英社新書)

価格: ¥735
カテゴリ: 新書
ブランド: 集英社
Amazon.co.jpで確認
「スポーツの物語はたくさんあるほどいい」というスタンス ★★★★★
著者は「スタンスの定まらないライティングは、結局ただのレポート」だと書きます。なるほど。
しかし、この本を読み進めるとこんな疑問が湧いてきます。「それじゃあ重松氏のスタンスは?」
本書を通じて、重松氏はまったく毛色の異なる書き手たちに賞賛を贈ります。五輪をかなり退屈なものと見る村上春樹と熱狂してしまう村上龍、ときに暑苦しいほどの熱意でプロ野球界の愛憎劇だけを描く近藤唯之と人間ドラマを除く野球界のすべてを網羅する小関順二、徹底した部外者として競馬を語る大橋巨泉と選手と一体化するほど接近する増島みどり……。彼らはしばしば正反対のスタンスを持つ書き手です。
例えるなら、長嶋茂雄のことを「やっぱり記録より記憶に残る選手こそが一流だよねぇ」と褒めた直後に、「印象では長嶋に劣っても、868本塁打の王さんはやっぱり世界一だね」というようなもので、読者としては「さっき、記録より記憶って言いませんでしたっけ?」とツッコミを入れたくなってしまうわけです。
そんな疑問に答えるように、重松氏はあとがきでこう記します。「スポーツをめぐる『物語』は、硬軟とりまぜて、たくさんあればあるほどいい−−というのが、僕の考えである」。この本は、多種多様なスポーツライティングをどのように読めば最も面白いのかを解くという善意と実用的なスタンスに基づいています。
それは重松氏が開高健の章で書くように、スポーツライティングを「書く」のではなく、「読む」という、「当事者ではない者」としての謙虚さなのかもしれません。それにしてもこの章、魂にビンビン響きました。
スポーツライター列伝 ★★★☆☆
重松清がスポーツライターについて書いている。スポーツ好きにはたまらない企画だが評価が難しい1冊だ。

まず。重松によるライターの評価。
流石プロ。ライターの心情をつぶさに汲み取っている。山際淳司はよく読んだつもりでいたが、雑誌掲載時と単行本化の間の加筆なんで気づいたことがなかった。

その一方であまり共感できないライターを持ち上げている気がする。例えば、経済学者や政治家じゃないライターに政治・経済と同じ文脈でスポーツを語られて素直に首肯できる人って少ないのではないか?もう少し厳しい評価があってもいい。

次に人選。多様性に富んでおり、この本で紹介された何冊かは明日にでも読みたい気分になった。特に、『食わず嫌い』で読まなかった本にも箸をつけられそうな気分になる。その一方で、この人は加えなくてもいいんじゃないのってな人が2〜3人混じっている。

以上は、良くもあり悪くもあるところだが、全体を通じてスポーツライターの卵や志願者に向かってのメッセージと感じられるところは残念。もう少し、普通のスポーツ好きを対象に書いて欲しかった。
やさしさ満開 ★★★☆☆
本書では、山際淳治から浅草キッドまで多岐に渡る人物を取り上げているが、
誰に対しても優しい視点で評論している。
そのやさしさに、もっと厳しく見てもと思う方がいるかもしれないが、それがシゲマツ清。
だから、酷評するようなものを期待する私は自分が意地悪のように思える。


失礼ながら、シゲマツってその風貌から、スポーツからは縁遠いと勝手に思っていたが、
シゲマツとスポーツの接点がかかれていたら、もっとよかったと思う。
個人的には、梶原一騎と水島新治の項が一番共感した。
書き方指南書としても使える ★★★☆☆
みんなスポーツを語ることが大好き。昔から多くの文豪たちが、最近ではスポーツライターという職業も登場し、スポーツを題材としたノンフィクションが書かれている。そういったスポーツノンフィクションを作家ごとにその文章のクセ、着目すべき点などを紹介した本。沢木耕太郎に三島由紀夫に村上龍に。。。

ノンフィクション文章読本とあるようにこの本はノンフィクションはこういう書き方もあるよ。この情報は不可欠。そいうったノンフィクションを読む際の注意点のようなものをスポーツノンフィクションを通して説明しているものだと思う。書き方指南書としても使える。文章表現能力を広げたいスポーツ愛好家におすすめの本。

スポーツライターになりたい人に、楽しみたい人の為に ★★★★☆
スポーツに題材を求めた文章(ノンフィクション、エッセイ、小説の他に漫画や詩なども含める)を書いてきた人たちが多数紹介されており、スポーツを「読む」ことの楽しさを教えてくれます。ちなみにぼくは沢木耕太郎の「一瞬の夏」(新潮文庫)というボクシングを描いた本で開眼しました。各人どのようなスタンスと方法論でスポーツの豊穣さを「書いた」かを解説・紹介すると共に、それがスポーツライティングのライターを目指す方の指南書の役割も担っています。それにしても意外だったのは、重松清の「スポーツもの」に対する多岐に渡る造詣の深さです。読了後、心にひっかかる本が何冊か出てくるかも知れませんよ。