だれにでも一度は読んでおいてもらいたい
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本書は2009年12月発行。『ケアとしての死化粧』(専門書/2007年に改訂版)から5年,『死化粧』(一般の人向けの小説+解説)から4年。小林光恵さんのエンゼルメイクに関する思考や活動は,広がりと深みを増しております。名著です。ソフトな文体で実例を交えながら,エンゼルメイクについて考え,学んでいけます。だれにでも一度は読んでおいてもらいたい内容。専門書よりもやさしく小説よりもストレートに解説がなされています。装丁(桂川潤),装画(今村麻果)もよい出来だと思います。
「エンゼルメイク研究会では、エンゼルメイクのときに顔や顔まわりのクレンジング・マッサージをすることをおすすめしています。それは、次の二つの効果があるからです。一つは汚れがとれるということ。(中略) もう一つの効果は、穏やかな顔になるということです」といった語り口。以下の具体的記述…おもな遺体の変化(P.186〜187ページ)/髪染めについて/綿は詰めなくていい/あごや手首は縛らなくていい,縛らないほうがいい/湯かんやエンバーミングについて(P.208〜212ページ)など,かなり参考になります。
「看取る」ということ
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本書はたくさんのナースから寄せられた実際の「看取り」のエピソードが多く紹介されています。
筆者は本書で「看取りとは、悲嘆のときであると同時に、亡くなったその人に出会えたことに感動を覚える場面でもある」と述べています。
その「看取り」を家族が実感できる手段が、ナースと家族が一緒になって行う「エンゼルメイク」です。
「エンゼルメイク」を家族がすることで、その人の死が鮮明となり、同時に故人との思い出がより鮮明になっていく様子が、形は違えど胸に迫ってきます。
どのエピソードにも人それぞれの「看取り」があり、読むたびに「生とは」「死とは」「自分だったらどうするだろうか」と深く考えさせられます。
私たちの日常では身近なことではなくなったしまった「死」を改めて実感し、そこから「どう生きるか」を学ぶことができる書だと思います。
オススメです!!
また、本書には「エンゼルメイク」の具体的な方法もわかりやすく書かれており、ぜひ手元に置いておきたい1冊です。