お菓子の宣伝で一世風靡した名子役の唯一現存しているドラマ映像ではないでしょうか。でも、できたらグーチョキパーとかもう一度観たいです。

家出少女宇野久美子は、旅先で大池忠平と言う男に誘われて、
湖畔の別荘に泊まる事になる。その大池忠平が、翌朝、霧に包まれた
湖に誰かによって突き落とされたのではと思われ、捜査に乗り出した
刑事に久美子がその突き落とした犯人ではないかと疑われる破目に。
しかし、死体は上がらず･･･。二転三転するストーリー。
更に意外なラスト。懐かしい上原ゆかり主演のサスペンスドラマは、
ゆっくりと展開する。そのゆっくりさと画面の色調が、あの時代の
優しさと香りを感じさせてくれる。

ＮＨＫ‘少年ドラマシリーズ’では「タイムトラベラー」や「謎の転校生」といったＳＦ物もいいのですが、個人的にはこれも好きなドラマの一つ。この当時はまだ業務用ＶＴＲが非常に高価で、現存しない少年ドラマも多いのですが、幸いにも全エピソードがＤＶＤ化されていること自体がうれしい。

このドラマは、夏休みを利用して一人旅に出た少女が湖の面したバンガローで、ある事件に巻き込まれるというストーリーで、途中にさまざまなトリックが用意されています。ジュニア向けとはいえサスペンスドラマ仕掛けになっていて、今観ても結構面白い。木村功や中原ひとみといった大物俳優が出ているほか、刑事役の高原駿雄がいい味を出しています。まあ、純粋にドラマの出来として振り返れば、決して名作とは言いがたいかもしれませんが、私のように放送当時を知るものにとっては、とても懐かしいドラマでもあるわけです。

主演はかつて子役として一世を風靡していた上原ゆかり。一時休業していたのでこのドラマが久々の出演作となっています。その後の彼女はパッとしなくなるので、彼女の主演作として現在ＤＶＤで見ることができるのはこのドラマだけでしょう。ここではドラマの本質を見極めるより、むしろ上原ゆかりを見るべきドラマと言えるかもしれません。ここでの彼女は本当に可愛い。舌足らずで、決して演技が上手いとは言えないのですが、とにかく一生懸命に演じる姿が微笑ましく感じます。

　少年ドラマシリーズの中でも、かなりの名作。火曜サスペンスや土曜ワイド劇場よりも、謎解きにスリルがある。しかも、少女の成長というテーマもしっかり描かれており、まるで千と千尋のもつテーマにも迫っている。惜しむらくは、少女の家族のオーバーリアクションが鼻につくところか。