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ペガサスと一角獣薬局

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: 光文社
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フリーカメラマン・南美希風の事件簿 ★★★★★
◆「光る棺の中の白骨」

  北極圏の街、ノルウェーのアルタ。
  撮影に来ていた南美希風と、友人でガイド役の高部は、奇妙な事件にあう。

  五年前に扉を溶接し、出入りが不可能な状態となっていた
  元燻製小屋から、頭を割られた白骨死体が発見されたのだ。

  関係者の証言によると、扉を溶接する際、屋内に人は
  おらず、現在に至るまで、中に誰も入った形跡はない。

  しかも、死体が、高部の元カノの彩乃である可能性が高く
  なってくるのだが、三年前までは彼女は確実に生きていた。

  果たして白骨死体は、いつから小屋の中にあったのか?



  事件についてのディスカッションの中で、さまざまな密室形成の
  方法の可能性が、丹念に検討されていく展開がうれしいです。

  そこを読むだけで〈密室トリック〉の基本原理に触れることができます。


  本作の密室トリックは、従来のパターンを応用したものなのですが、
  何といっても、密室にする必然性、つまり犯人の動機が素晴らしい。

  冷徹で即物的な物理トリックと、犯人の切実な願望が渾然一体に
  溶け合い、ミステリでしかありえない美しい情景を現出させます。