2000年11月、「最後の巨匠」ヴァントの10年ぶりの来日が北ドイツ放送響とのコンビで実現。各媒体から2000年のベストコンサートとして絶賛された公演のライヴ盤である。シューベルトの『未完成』、ブルックナーの『第9番』という未完成作品同士のカップリングという選曲の妙もさることながら、88歳という年齢にもかかわらず1日、この重厚な2曲を振るという、まさに入魂の集中力にまず驚かされる。
『未完成』においてヴァントは、格調高い緊張感を保ちつつ聴く者の魂に直接語りかけてくる、かつてない名演を生みだした。また、18番であるブルックナーにおいては、さらに恐るべき演奏の緊張感と作品のもつ深淵性が高度な次元で止揚された結果、そのエネルギーはあたかも宇宙の始源、ビッグバンを顕現させたかと思えるほどの高まりを見せた。作曲者が垣間見た神の領域へとわれわれをいざなう、至高の音塊で満たされている。
また同時に発売されたDVDも、終始立って振り通し、神々しささえ漂わす巨匠の姿が収録されており、こちらも見逃せない。(奈良 与志雄)
火事場の馬鹿力!!
★★★★★
私はヴァントのファンでは無く、オケのNDRファンです。ドイツには数々の世界有数の楽団が存在しますが特異なのがこのNDR。全体的印象は如何にもドイツ的、キッチリとした構造美の有る演奏で音色としてはやや硬質。只、時に火事場の馬鹿力!!を発揮するスーパー・オケ。テンシュテットとのマーラーなどBPOも顔色無しの凄演をヤッチャイます。本演奏もそうした一連の演奏の一つとしてよいのでは?、、、。
ライブの良さをスポイルした編集に残念!
★★★★☆
最近のCDでは、ライブ録音と称したものが多い。それにしては、聴衆の咳払いや、演奏前のノイズが聞こえないので「?」と感じる人は多いでしょう?ライブ録音なのは確かなのです。現在は、コンピューターでノイズを消去し編集してしまう技術が跳梁跋扈し、ノイズとともに、会場の臨場感や場合によっては、音楽そのものが持つ音を変えてしまう事が多いのです。この時に実際にホールで聴いた人なら、「自分が聴いた音楽と違う」と感じる筈です。ジョン・ケージの「4分33秒」ではないですが、聴衆のざわめきなど、会場で聞こえる音も含めて「音楽」なのです。もし、この方法で「4分33秒」を仮に録音したら、無音のCDが出来てしまうでしょう?そんな録音(既に録音とは言えないが)を誰が聴きたがるでしょうか?メーカーは、何故、恐れずに、ありのままの音楽を提供してくれないのでしょうか?聴き手は、音質を損なったCDよりも、自分が会場に居るような臨場感豊かなCDを購入したいのです。しかも、この様な歴史的な演奏こそ、生のままCDにして欲しい!メーカーは、恐れないで下さい。LP時代は、そのまま発売してくれたでしょう?
ライブ?
★★★★★
まず思うのが、このCDって本当にライブなの?です。
スタジオ録音と言ってもわからないぐらい観客の気配がないのに驚きます。
演奏がそれだけ素晴らしいからだと思います。
もう、生でヴァントの演奏を体感する事ができませんが、これと同じ内容のDVDも発売されていますので、それで我慢するしかありませんね。