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幼児狩り/蟹 (新潮文庫 こ 9-1)

価格: ¥460
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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幼児への愛と嗜虐 ★★★★☆
作者の代表的短編集。歪んだ愛を描いては天下一品の作者が、母性による幼児(男子)への愛と嗜虐を描いて秀逸な作品。

タイトル作「幼児狩り」は題名自身がそれを表しているし、「蟹」は一見幼児との蟹遊びを書いて、実は空想的誘拐を描いている。「塀の中」も戦時中の女学生寮で起こる集団"幼児狩り"を描いている。幼児への愛が歪んだ形で嗜虐へと変るのか、最初から母性の中に幼児への嗜虐性が存在するのかは分からない。とにかく、母性に潜む心の闇に慄然とする。また、本作は最近の母親による幼児虐待事件を予見しているようで怖い。

母性とは、日常生活における異常感覚とは、幼児への嗜虐と愛との関係とは等、様々な身近な問題を考えさせてくれる傑作短編集。
河野を読むなら、まずこれを。 ★★★★★
著者の作品のなかで、個人的にもっとも愛する一冊がこれ。河野作品のなかでは古い作品群であるが、著者のテーマの一つである、「歪んだ愛のカタチ」「異常性を孕む愛」が濃厚に、そして危険に香る粒よりの作品揃いだ。本書は特に、当時の作者のモチーフであった「幼児虐待的雰囲気」を伴うストーリーが多い。
作品名を列記しておこう。

○幼児狩り ○劇場 ○塀の中 ○雪 ○蟹 ○夜を往く
以上、短編6編を収録。

なかでも、読後10年以上忘れられないのが「塀の中」。戦時中の女学生たちが、自らも閉じ込められている、まるで檻のような女子寮に迷子の幼児(男の子)をかくまうというストーリーだが、やりきれないような不安と、心のどこかがヒリヒリするような切なさに襲われる。日本の作品〡?マイベスト30に入る珠玉!