内容が非常に深い!
★★★★★
平易な語り口で、ユーモア一杯の読みやすい本だが、その実、内容は非常に深いものがある。
私は音楽の現場で演奏や作・編曲を行っているが、音楽的なことに関して言えば、キューバ音楽の歴史的経緯や世界に与えた多大な影響といった史実的なことだけでなく、当のキューバ人音楽家達がなにを感じ、考え、求めて音楽活動を行っているのか?といった、この世界で活動している当人でなければ分からないことが、非常に深く掘り下げて書いてある。
特に、日本やアメリカのようなマーケッティング主導の商業音楽ではない世界で活動してきた著者が見た日本の音楽シーンの感想は、私達も襟を正して受け止めるべきだろう。
キューバの音楽だけでなく、社会情勢に関する情報にも貴重な話が多く、それを解説した大量の脚注は、それ自体が面白い。
共著者のインタビューによって書かれた本らしいが、これだけ深い内容を引き出したインタビューの実力も素晴しい。
これは共著者も自身で演奏活動をしているから出来たことだろう。
優れた音楽家と共著者の作った絶妙のコラボレーション・ワークだ。
キューバって面白い
★★★★★
帯に、「村上龍推薦」とあったし、装丁も綺麗だったので、つい手に取ってみました。
キューバや音楽についての知識は全然なかったのですが、著者の語り口が楽しく、すぐに惹きこまれてしまいました。
音楽用語や人名、地名などわからない言葉がいっぱいでしたが、沢山の脚注がついているので、すんなりと理解できるし、脚注自体の書き方も面白いです。
キューバって南米の発展途上国のようなイメージがありましたが、コロンブスが発見した時からヨーロッパの文明が発展してきた文化国で、医療や教育の水準もたかくて、貧乏だけど人々が楽しく暮らしている素敵な国なんだなぁ、とわかりました。
最後に載っているお勧めCDを買って、聞きたくなりました。
だれでも楽しめる、今年1番のノンフィクション!
★★★★★
ミュージシャンである私は、キューバ音楽のスタイルと歴史について一通り勉強したが、
それではよくわからなかったことが、この本を読んで氷解した。
また、読書好きでもある私にとって、音楽抜きでも楽しめる大変面白い読み物である。
音楽好きにもそうでない人にも面白い出来上がりは、
インタビューアの大金とおる氏によるところが大きいと思う。
キューバについて知らなかった
★★★★★
知り合いのだいきちさんから勧められた本を読んだ。
著者はペドロ・バージェというキューバ音楽のサックス奏者で、現在日本で活動されているらしい。共著者は大金とおるという人だそうだ。
この本は基本的にはペドロさんの自叙伝なのだが、それだけに留まらず、キューバ音楽とはどんなものか、そしてキューバという国はどんなところなのかについても書かれている。特に革命前後のキューバの様子を書かれているところがおもしろい。当然のことながらキューバ音楽のことについていろいろ書かれているのだけど、キューバが高福祉の国で教育・医療の面では非常に優れていることや、その反面サックス奏者などはリードを手に入れるのも苦労するくらい恵まれていない状況があるなど、社会面についての話もおもしろい。
知らない人名や音楽の用語、楽器などの固有名詞がいろいろでてきて、そこのところがわかりにくかったけど、わからないままどんどん読んでいっても充分楽しんで読むことができた。
キューバにもちょっとは興味がでてきたな。
本当にリアルな声
★★★★★
キューバ人による生の証言が、とても興味深い。日本の世界史の授業の中では、ほんの上っ面しか紹介されないキューバ革命とその時代が、直に伝わってきます。直接「そこ」にいた人の言葉は、飾らなくても伝わるものの質量が大きい。
USAの「サルサ」とは微妙に音楽的系譜が異なることがわかり、音楽的な知識を整理するうえでも貴重な資料になりました。
単なる音楽読本としてよりも、アメリカによるアメリカのための歴史とは違う切り口が、面白いです。今ならまだ当時を生きた人の証言が直接、得られると思うので、著者の今後の活動に期待します。