ブラス、ストリングス、ヴォーカルが無ければ...
★★★★☆
スタンリー・クラークがジャズ界に衝撃をもたらしたのは、エレベーもウッドも、同じくらい高いレベルで弾きこなせた、ということだろう。
本人(レコード会社)もそれをよく意識していたらしく、表ジャケットにはエレキをかまえるスタンリー、裏面はウッドをかまえるスタンリーが、それぞれ映し出されている。
さて、1974年発表のリーダー第二作目だが、本作からEpicに移籍。いろんな意味でチック・コリア色が払拭された、ある意味、その後のスタンリー・クラークの出発点となった作品といえよう。
同じ、クロスオーバー/フュージョンといっても、40年代前半までに生まれ、アコースティック・ジャズを通過してきた他のジャズメンたちのそれとは違い、スタンリーは明らかにロック世代。ヴォキャブラリーの質が違う。
それが証拠に(?)、本作収録のPowerは、75年のライヴでジェフ・ベックが取り上げていたし、その彼とは78,79年に日本やヨーロッパで短期間だがツアーしている。LOPSY LUは、その時のレパートリーだった。
また、キーボードもいち早くヤン・ハマーを起用している。
ただ、非常に残念なのは、クインシー・ジョーンズばりに(?)ブラスやストリングスを加え、また、自らヴォーカルを披露しているところ。
全編カルテットのみで、ソリッドにかましてくれれば、ジェフの「ワイアード」に先駆ける傑作となったかもしれないものを...