Vシネとは一線を画する、熊澤組の実力。
★★★★☆
本作は、熊澤尚人と石岡正人のふたりの監督によるオムニバスだ。結構エロティックな出来だが、そこは熊澤組であり、きちんと女性目線で見ているから、いやらしさはあまり感じない。そこが数多ある「少しエッチなVシネ」と決定的に違うところだろう。吉本多香美、中村愛美、関彩と、3人の主役が織りなす世界観は、清廉な価値観の裏返しを垣間見ているようで、非常に面白い。男優陣はすべて脇に回っているが、ベンガルや温水洋一は今回役得だったかな、と思う(笑)。中でもやっぱりエンケンの存在感が抜きんでていた。眼力のある役者はさすがに魅せる。2本目の「ガールズライフ」は横浜の曙町(伊勢佐木町の裏手)にある風俗街が舞台だ。自分の知る限り、曙町で撮影された映画って、本作くらいだと思う。さすがに横浜フィルムコミッションの撮影協力はなかったようだが(笑)、撮影には本物の店舗を使用しているようで、興味深かった。ただし、中村愛美が店を出て、母親に電話をするバックには東京タワー、っていうのはちょっとどうかと思うぞ・・・。いい作品なので「つなぎ」も完璧にして欲しかったなあ。出来自体は熊澤監督の「バースデー」が一番だが、どれを観ても後悔はしない仕上がりが嬉しい。星4つ。