待望のブルーの初主演映画がこの楽しいミュージカルだ。もちろん、いつものようにブルーは途中あちこち道草してなかなか先に進まない。でもそこが、ブルーズ・クルーズのおもしろさ。もともと30分のテレビ番組の本作は、幼児でも理解できるような展開でわかりやすくミニ・ミステリーを解決していく、なぞ解きの子ども番組。今回も、ブルー、飼い主のスティーヴ、そして常連のおしゃべりする物体の友だちが登場し、裏庭で開かれる音楽会の準備をするため奔走する。みんな1曲ずつ披露しなければならないのだが、ブルーのデュエット相手のティケティー・トックは喉頭炎にかかってしまう。さあ、誰が代わりにパートナーになってくれるのか？ ブルーズ・クルーズのなぞ解きはここでも健在。ただし映画では退屈にならないように、いつものブルーの3つの手がかりとそのあとに続くヒントになる歌に大幅に手が加えられている。スティーヴはG－クレフと呼ばれる音符（誰が聞いてもわかるレイ・チャールズの声！）が住んでいるキーボードに出会い、歌の作り方を教えてもらう。はじめに音符を選び、リズムを決め、テンポを決めて、そして最後にもっとも重要なこと、「心をこめること」が大事だと学ぶ。粘り強くがんばること（ティケティー・トックは歌えないけれどもみんなに貢献できる別の方法を見つけ出す）と自力で力をつけること、このふたつがこの映画の大きなテーマだ。ブルーズ・ビッグ・ミュージカル・ムービーは、子どもたちには見て楽し聞いて楽しいという映画だが、セットのカラフルな色使いが大人の目にはちょっときついかもしれない。しかし、レイ・チャールズも参加した音楽の方はだれでも文句無しに楽しめること請け合いだ。（Tammy La Gorce, Amazon.com）