フリーペーパーでのインタビューで「ガチャピンにとっての振り幅をみせたかった」と語ったように、本作は、外部からの曲提供や新しいアレンジャーの採用によって、バンドとしてセカンドステージへと進み出す作品に仕上がった感があります。

M1「雪泣く〜setsunaku〜メロディー」は、先のインタビューでも語られていたように、バンド結成当時にベースのKOGAが作ったメロをいままで温めて来たもので、これまでの楽曲にはないミディアムテンポの秀作。PVではボーカルのArmmyがショルダーキーボードをプレイしていて、バンドの新しいフォーメーションを見せています。M2「ピアス」も、これまでのレパートリーにないバラード調の楽曲で、シーケンス主体のミニマムミュージックとバンドサウンドを融合させています。はなのドラムがストレートに前面に響いてきて、この手のサウンドではありがちなリバーブ効きまくりのサウンドではないところにライブ感を感じさせてくれます。ちなみにライブでは、ギターのTOMO-ZOがキーボードを演奏しており、楽曲の再現におけるメンバーの楽器演奏の振り幅の広さを示している気がします。

前半の２曲に対してアルバムの後半では、それまでの「静」に対して非常に攻撃的な「動」の部分を打ち出しており、M3「ルーレット」では、ラップの部分とメロディアスなサビが好対照なイメージのアクティブなサウンド。いろんなギミックを駆使したアレンジで、従来のガチャピンサウンドを継承した感があります。M4「BROKEN LOVER」は、ベースのKOGAの師匠的存在の名プレーヤーIKUOの手によるアッパーな楽曲。本作の収録曲を見る限り、M1を軸にしても、他の並びを考えられたでしょうが、これをラストに持ってくるあたりに、バンドとしての挟持が感じられる展開になっていますね。