今や死語?な「小室ファミリー」の中でも、完全なる小室哲哉の支配下に置かれていた他のアーティストとはズレた立ち位置の←衣装等の選択や自身での作詞を許されていました。hitomiさんですが、今作でのボーカルワークは…反発意識の現れなのでしょうか。
事実、このアルバムを最後に小室哲哉とのタッグを解消しています。


マンネリ気味だった小室サウンドを象徴するかのようなチープなサウンドで作り上げられていますが、hitomiさん自身の歌詞は相変わらず巧い言葉を選んでいて、作詞能力はやはり素晴らしい。

小室提供のラストシングル
《Pretty Eyes》の一節、

ドアを開けてみて
そこが奇妙な世界でも
自分は自分だって
勝手に思って生きてく。


彼女なりの決別宣言だったのでしょう。
以降の彼女のキャリアを大きく変える一枚だったと思います。

hitomi×小室組によるラストオリジナルアルバム。大ヒットした前作と比べると大衆性が削ぎ落とされ、マニアックな内容になっているため、物足りなさが否めませんが、これはこれでいい味を出しています。

トータルで見ると即興でつくり上げたかのような、勢いばかり目立った作品に思えますが、細かく見てみると音の使い方が斬新で面白かったり、聴いているうちに引き込まれるような威力を隠しもっています。ただ問題なのはメロディーラインがかなりマイナーで覚えにくいところ。特に一昔前の洋楽を意識した新録曲を一度で記憶に定着させるのは至難の技です。

本作の特徴は、小室哲哉らしからぬアコースティックかつオーガニックな雰囲気と、それに乗せて歌うhitomiの殴りつけるように野性的なヴォーカル。そういう意味では高い統一感を備えています。シングル『BUSY NOW』『PRETTY EYES』『problem』はどれも聴き応えのある楽曲ですが、これらを聴くだけならベスト版『h』をおすすめします。ただ個人的に、アルバム全体の破壊力をもった排他的な空気感には捨て難いものがあり、また、『Slow Song』は何度聴いてもため息の出る良曲だと思っています。(もちろん、なかには悪い意味でため息の出る方もいるでしょう。)

『BEDまでたどり着けなくなってから
なんて はかない 仕方ないと嘆かずに』

『寝て起きたら出来上がってるなんてワケないじゃん』

この曲が放つマイナスオーラは、おそらくこの先の彼女には出せないであろうものです。そしてこのアルバム自体も、一瞬の間のhitomiと小室のペアにしか織り成せなかった輝きだと思います。

いまいち印象に残る曲がない残念な仕上がり．小室プロデュースの最後の作品だが，彼のもとを離れてよかったのではと思わされる．繰り返して聞いてみようと思うのは最後の「デジャ・ヴ」くらいか．個人的にはこのアルバム以降のHitomiが好きです．彼女の分岐点を認識するうえでは面白い一枚になるかも

このアルバムを最後に小室氏のもとを離れた彼女だが、この作品はそれが正しい決断だったことを証明するものとなってしまったような気がする。楽曲のクオリティーも低く、唯一の聴きどころは彼女の攻撃的なヴォーカルのみ。歌の下手さは相変わらずで、高音が出にくい、いまいちリズムに乗れていない、パンチ力がないなど・・・ただそんなことは気にしないとばかりに、決別の気持ちを込めたかどうかは知らないが、感情のままのヴォーカルが聴ける。これはその後のアルバムでは聴くことの出来ないもので、そういう意味では価値があるのかも。ジャケットもどこか寂しさを漂わせた彼女の姿がセクシーでいい感じになっている。ただ純粋に楽曲・歌としてこのアルバムを見れば、どうしても評価は低く星１つ、付加価値としてプラス１点というところかな。

このアルバム以降この組み合わせはなくなりましたね。(久保さんも）いい意味で他の小室ファミリ―とは異なる存在だったhitomiさん。今では自分のやりたいことを表現できるようになったのでしょうがこのアルバムの頃のほうがギラギラと言うか「私は小室哲哉無しでもやっていける」というような感情剥き出し感や緊張感があり良かったと思います。(今の方が癒し感はあるのでしょうが）この組み合わせはもうあり得ないと思いますが、かつてのポリス(比べるのはどうかと思いますが・・・）のようにその組み合わせでしか成り立たない音楽だと思います。