いっそ京都観光案内風な話でもいいかもしれない
★★★☆☆
何とも評価がしにくい1冊です。
何冊かにまたがる長い物語の途中の1冊だけ評価しようというのが、そもそも無理なことは承知していますが、それにしても、それにしても、と言ったところでしょうか。
出版社としては1冊でも多く売りたいからでしょうが、帯に「[東京ラブストーリー]の柴門ふみが描く京都ではじまる仕事と恋のストーリー」と、いかにも読みたくなるようなコピーを付けていますが、このコピーが本当に的確にこのマンガを表しているかとなると、???となりそうです。
京都が舞台だし、京都弁が飛び交っているし、何となく京都風な仕事も出てくるし。だからこそはんなり! 1 (1) (ビッグコミックス)では多少期待もしたのですが、そんなうわべを取り払ってみるとやはりいつもの柴門マンガのパターンに嵌っているのかと思えてきました。
登場する女性は、実は弱いところを持っていながらバリバリに恋も仕事もこなしていこうとする人と、一見弱そうにみえて芯には確固たるものをもっている人が、恋や仕事をめぐって味方になったり敵になったり、振り回したり振り回されたりというもののようです。
男性も、特異な資質を持った独特な人と、誠実そうでどこか頼りなげな人とが、反発したり協力したりして話が進んでいくようです。
肯定的に見れば、男女やその他人間関係などみな多かれ少なかれ同じなのだから、同義反復的なストーリーになるのは仕方ないのかもしれません。でもそれならばいっそ、こてこての京都物語にしてくれてもいいようにも思います。