【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】 著者/訳者名:ニーアル・ファーガソン/著 仙名紀/訳 出版社名:早川書房 発行年月:2007年12月 関連キーワード:ゾウオ ノ セイキ 1 ナゼ ニジツセイキ ワ セカイテキ サツリク ノ バ ト ナツタ ノカ ぞうお の せいき 1 なぜ にじつせいき わ せかいてき さつりく の ば と なつた のか、 ハヤカワ シヨボウ ハヤカワシヨボウ 6942 はやかわ しよぼう はやかわしよぼう 6942、 ハヤカワ シヨボウ ハヤカワシヨボウ 6942 はやかわ しよぼう はやかわしよぼう 6942 大規模な塹壕戦が繰り広げられた第一次世界大戦、ヨーロッパで相次いだユダヤ人虐殺、スターリンの大粛清、南京大虐殺、無差別爆撃や原爆に象徴される第二次世界大戦、中国の文化大革命、世界各地で絶え間なく発生する内戦…20世紀は史上空前の規模で殺戮が行なわれた血塗られた世紀であった。戦争や内紛の直接の犠牲者だけでなく、それに付随する飢餓や環境悪
遺伝子・伝統宗教システムを対象にして戦争概念について複雑な思いになる本
★★★★★
西欧の没落・帝国の衰退を重要な要因として捉え、 遺伝子と宗教思想という人間の根本要因に対して焦点を合わせていて殺戮対象を人間以下の存在やエイリアンとして認識していたと主張している。そして、同じ人間の仲間を殺したいと思っていて人間が人間を殺すことをやめようとしないようにしか見えないという悲観的な主張で終わっていて、戦争は人を大量に殺したという点では見るよりも、パーセンテージから見てほんの少しの人間だけが死んだ洗練された戦いとしてみており、実際は戦争がある前は10%から60%の男が他殺されるというとてつもない殺し合いをしていたという認識を持っている。遺伝子と宗教思想に焦点を当てていたり、日露戦争で勝利しなかったら白人の優位性を疑わず白人しか存在しなかったかもしれない、また、日本はロシアよりも西欧的(近代的)だったということを認めている点でとてもまともな本であると思う。金融史が専門なので昔からグローバリゼーションは存在していたということを主張していたり、所得の格差を重要な要因として捉えているところが参考になる。また、交通機関の発達によって情報伝達スピードが急激に上がったことも重要な要因としてとらえている。
福祉国家だけは全面戦争を起こしていないと主張し、戦争などの暴力が起こる要因として、
・ 経済緊張・所得の格差(経済の貧困よりも経済成長による格差)
・ 宗教思想などの伝統的なシステムの変化
・ セックスにからむ民族同士の境界線での対立
を重要な要因として挙げている。
金持ちにユダヤ人多く見られるが、ユダヤ人にもかなりの数のとても貧乏な人間がいることや、ユダヤ人が子供を生贄にする野蛮な宗教儀式があるという認識などから歴史的に虐殺され続けていたことや、ヒトラーがユダヤ人が人間を大量に虐殺しているというポスターを作っていたりなど、正しいと思っていたことに対する認識を吐き気を及ぼすほど冷酷に記述している本です。かなり影響力のある学者なので正当性は高いので間違っているとはねつけるわけにはいかないので、人間全体に対する認識ではなく人間のダークサイドの部分の認識ばかりだと分かっているがかなり落ち込みます…
これは期待外れ
★★☆☆☆
上巻(星4つ)
下巻(星1つ) 最終評価:価格の割に下巻がお粗末なので星2つ。
世界同時多発テロのちょうど100年前、1901年9月11日を起点として
欧州諸帝国(当時はまぎれもなく欧州は世界の中心だった)の概況からスタートしている。
20世紀を題材にするのだから当然かもしれないが、この滑り出しは好調。
収録された図版や地図が盛り上げてくれる。
収穫は第一次大戦までの中・東欧・ロシア帝国の内情。
そしてごくわずかの記述だが、ロシア帝国の極東地域では現地人をどのように捉えていたかが
窺われるのでここは貴重か。
読了して感じたこと。
著者の視点が欧州中心視点(それも古いもの)から最後まで抜けきれていない。
米国人なのに米国史独自視点からの切り口も余り感じられなかったのが残念。
欧州の帝国主義は語るが、
米国によるハワイ、フィリピン併呑はスルーしているのは政治的には常識なのか。
一応触れておかないとバランスは欠くと思う。
若いのに大丈夫か?といらぬ心配をしてしまう。
上巻で精力を使い果たしてしまい、その流れのまま20世紀を語ってしまった感が否めない。
読めるのは世界大恐慌まで。
欧米以外の地域での記述になると密度や書き手の関心は激減する。
欧州諸帝国の没落との比較で日清・日露戦争を経た日本を取り上げている割には、
その切り口はステレオタイプ。
率直に言って日本に対するファーガソンの認識は偏見に満ちた誤ったものだ。
日本では1925年に普通選挙法が成立、以降占領されるまで民主主義は機能していたし
ホロコーストと南京事件を同一視するあたりも無知そのもの。
日本人は自身が明治から戦中までの古書籍をもっと読み込み、英訳して発信でもしない
と好き放題、「歴史的事実」として書かれてしまう。
日本への、帝国を崩壊させられた恨み節(自業自得なのだが)はアカデミックな衣を
纏おうが隠せない。国連の敵国条項は現在でも生きているという事実を実感。
そういう意味では「欧米視点」は存分に発揮されているかもしれない。
「俺たちが日本に民主主義を授けてやったのだ」という傲慢極まりない態度がそれだ。
ナチスと同盟してしまった代償は余りにも大きいということか。
新進気鋭の論者としてその肩書きもご立派ではあるが、こんな史観が日本でも
有り難がられたとしたら、それは日本人の知的怠慢であろう。
壮大な叙事詩を思わせる大作
★★★★★
作者のニーアル・ファーガソンはイギリス生まれのハーバード大学歴史学教授。
2004年にはTIME誌で「世界でもっとも影響力のある100人」のひとりに選ばれたほど
注目されている若手歴史家で、著作の邦訳は初めてだそうです。
進歩の世紀であった20世紀が、同時に人類史上もっとも殺戮と暴力に溢れた世紀
(二度の世界大戦・内戦・民族浄化など)になっていく過程を、ファーガソンは
多くの資料を駆使して綿密に描き出しています。
1000ページに近い大作にも関わらず、最後まで興味深く読み進めることができたのは
当時の新聞記事や著作、知識人・政治家・兵士・民間人といった多岐にわたる人々の証言を
引用した、迫力と臨場感にあふれる叙述のせいでしょうか。
20世紀という壮大なドラマに自分も立ち会っているような読書体験でした。
とりわけユダヤ人やその他の少数民族に対する迫害について多くのページが割かれ、
両大戦を通じて彼らが被った苦しみには慄然とさせられます。
第二次世界大戦は、「英米に代表される西洋の勝利」ではなく「西洋の没落」の始まりであった、
という点が従来の歴史家と異なる彼の主張のようですが、現在の世界状況を見れば
この歴史観はある意味で先見的ではないでしょうか。
大作ゆえ、一度読んだだけで作者の意図を十分に把握できたとは言いませんが、
今なお世界の各地で紛争が起き、20世紀が生み出した状況とそれらが地続きであることを考慮すると、
21世紀を生きる私たちにとって、一度は目を通す価値のある力作だと思わされました。
看板に偽りあり-その1
★★☆☆☆
20世紀を未曾有の虐殺が蔓延した世紀として、その来歴を解きほぐそうとした
歴史家の手による世界大戦の祖述。
まずは良い点から。
原著者がイギリス出身であることからか、私たちにとってお馴染みだった史実が
まったく別様に紹介されていたりなど、新たな発見はいくつかあります。
また、よく言われることながら、戦争犯罪は必ずしも枢軸国側だけにあったわけで
はないことも、豊富な事例とともに紹介されています。
ホロコーストは、決して第二次大戦中のナチスによるものだけではなく、それ以前
から潜在的にも顕在的にも頻発していることが例示され、かつまた、ナチスの侵攻
をかえって歓迎してナチスの影に隠れるようにしてユダヤ人やセルビア人を殺しま
くったポーランドやクロアチアなどの事例も示され、これまで知らなかったことを
たくさん知りえたことは(少なくとも私は)、間違いないところです。
また、冷戦が終わったころ盛んに論じられつつ、最近すっかり下火な感じの「民族
問題」を大きな柱に据えており、この点でも、昨今の世界情勢を改めて「民族問題」
の視座から見直す契機を提供しているとも言えます。
総じて、とりわけ日本の読者にとって、従来常識的に把握していた史実のあれこれに、
あまり馴染みのない角度からの解釈を提示されることによって、いろいろ考えるきっか
けを多く与えてくれます。
しかしながら。
率直に言えば、看板に偽りあり、というところ。
「訳者あとがき」とはうらはらに、“これほど一面的で示唆に乏しい”著述も珍しい
といわないわけにはいきません。
まず、20世紀全般に言及しているわけではなく、考察対象にムラがありすぎ。
朝鮮戦争、中国の大躍進政策や文化大革命、中東の混迷、ポル・ポトのカンボジア、
南米の混乱、冷戦後のバルカン半島情勢、アフリカでのそれこそ未曾有の部族間抗争
など、第二次世界大戦以降の情勢への言及が薄すぎです。第二次世界大戦に絞るとし
ても、スペイン内乱やイタリアの情勢やフランスの状況についての言及が、薄いどこ
ろか、ほとんど触れるだけ。
これほど大部の著述でありながら、全般的な中欧・東欧情勢を除けば、主たるプレイ
ヤーはイギリス・ドイツ・ロシアだけ。
大きなテーマを掲げたわりには、考察される範囲が広げた風呂敷にまるで見合ってい
ません。
(下巻に続く・・・何故か下巻分がどうしてもアップできない。2冊で1本扱いなの??)