シビア……でも……。
★★★★★
他の、レビューにもある通り、ひんやりしていて、ビターテイスト。
でも、私は、木下さんの作品の中で、特に好きな一冊です。
木下さんの絵は、ふんわりしていて、かわいい感じですが、こういう話を書くと、逆に冷たい印象を引き立てて、何ともいえない、独特の雰囲気になります。
(少しネタバレ)最後まで八乙女さん(攻)は冷めていて、松田くん(受)は淋しそう・・・というか、振り回されそう;
でも、そこがいいです。いきなり、松田くんにメロメロになる八乙女さんなんて・・・想像できない;
あと、たまに出てくる松田くんの訛りにドキッとしてしまいました〃
切ない、淋しい、冷たい……けど、なんか救われる。そんなお話でした(^^)
攻めの存在にこの本の価値がある
★★★★☆
受けはごく普通の大学生なのでまあおいておいて・・・
この本の価値は攻めのよっちゃんにあります。
ゲイだった彼の後輩への想い、その後輩と自分の妹の恋を後ろから見つめるしかなかった悔しさや切なさ、彼らの忘れ形見の子供を育てなければならなくなった運命への呪い、諦め、後悔、いろんな彼の感情がちょっとずつ彼の不精ひげやジャージ姿ににじみ出ていて、笑えるけどやっぱり切なさがあふれている。
悪くないと思いますよ、このお話。普通にBLとしても。
隣の彼
★★★☆☆
アパートのもっさい謎の男は実は色男でちいさな娘もいました。 木下けい子さんはその色調やタッチから一見淡白な作風のようですが『キスブルー』に出てくる店長といい今回のお隣さんといいギョッとする位ひんやりとしたシーンやエピソードがあるのでその温度差に驚かされます。 この作品では主人公の悪く言えば世間知らず、よく言えば擦れていない真っ直ぐさに彼は救われているかもしれないなと思いました。 隣の彼がどんな事情を抱えていようと関わり続けていって自己完結させず光のあたるほうに親子を居るようにさせる無自覚に強い子でしたもの。 ほおっておいたらカッコつけたり考えすぎたりして娘(亡き妹の子)から離れ(実際一度はそうした)、遊ぶ相手にも困らないから世間とも関わろうとはしないですよこのおっさん。
傷を抱えた男と、その男に純粋な愛を向ける大学生のせつない恋愛模様
★★★★★
田舎から上京してきた、童貞君松田君は、アパートの隣人である、男やもめ八乙女(嘉彦)さんのことがとても、気になってしまう。どうして、小さな女の子を育てているのか、とか、毎朝の行動とか。そういうところから、少しずつ、真実を知ってゆくにつれ、八乙女さんに、惹かれて仕方がなくなって行きます。
この『隣の彼』の、亡くなっている好きだった男の、子供を育てている、[攻]のゲイの三十男八乙女さんも[受]の松田君も、本当に男として常識的な行動を、一貫して取っていて、共感できるし、このカップルは、この先ずっと一緒だと思えて、この漫画を私は本当に大好きで、何度も読み返しています。
一番好きなところは、八乙女さんを好きになる松田君は、わりと最初から、好きになるんですが、途中から、それを知ってからは、気を引こうとさまざまな行動を取っているように、思えるところです。
ずっと、ちょっと卑屈ぎみだった、松田君が、嘉彦さんに抱かれて、最後に本当の自分を解放するところが可愛くて、もう、この部分は何十回も読みました。
ホロ苦いビターチョコレートみたい
★★★★★
田舎から上京して来た松田君が、隣に住む怪しげな八乙女さんと出会い、次第に惹かれていく。純真で朴訥な松田君を、時々突き放すように冷たい態度を取る八乙女さんが、何となく恋愛に臆病になっているようにも見える気がする。
その根本的な原因は、学生時代の後輩であり、妹の旦那であり、今は故人となった野島にある。未だに野島への想いを引きずっている八乙女だが、直球タイプの松田君に段々と気持ちが近付いていく感じ。
決してほのぼのした話ではないけれど、読み終わった後にじんわりと心が暖かくなるようなお話です。