近年、まちづくりに限らず行政と市民・住民との「協働」は高い注目を集めており、研究も進められてようだが、中途半端な「べき」論や実践論、一方で現状を追認するだけのものが多い。そのような中で、地域社会論に止まらず、産業社会論や環境思想まで幅広い専門領域をもつ著者による本書は、極めて深みを持った再考を促すもののように思われる。
理論と実践の間を縦横無尽に行き来できる数少ない研究者であろう。その意味で、実践に携わる行政職員にはぜひ一読をお勧めしたいし、研究者にとっても様々な材料を提供してくれる貴重な一冊。また特に近年議論の盛んな「公共性」についても触れられている点でも、注目されるべき文献であろう。