インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

地域社会形成の思想と論理―参加・協働・自治

価格: ¥3,990
カテゴリ: 単行本
ブランド: ミネルヴァ書房
Amazon.co.jpで確認
理論史 ★★★★☆
第二章で「地域社会とは何か」が書かれており、地理学・経済地理学・行政学の分類が若干出ているが、伝統的な農村社会学と都市社会学の対立構造から新たな視点、つまり複合社会へとつながる。
地域社会の形成については何も論じていないと言った方が良いかも知れない。基本的にこの本では、地域社会学における理論史であり。つまり、地域社会形成の理論については論じているものの、著者自身が考えた理論あるいは調査ではない。
単なる「まちづくり」論からの脱却 ★★★★★
 近年、まちづくりに限らず行政と市民・住民との「協働」は高い注目を集めており、研究も進められてようだが、中途半端な「べき」論や実践論、一方で現状を追認するだけのものが多い。そのような中で、地域社会論に止まらず、産業社会論や環境思想まで幅広い専門領域をもつ著者による本書は、極めて深みを持った再考を促すもののように思われる。

 理論と実践の間を縦横無尽に行き来できる数少ない研究者であろう。その意味で、実践に携わる行政職員にはぜひ一読をお勧めしたいし、研究者にとっても様々な材料を提供してくれる貴重な一冊。また特に近年議論の盛んな「公共性」についても触れられている点でも、注目されるべき文献であろう。

地域社会を「本気で」考えるために ★★★★★
 本書は、ナッシュ『自然の権利』の訳者としても著名な研究者による400頁を超す大著である(この内容と分量でこの価格。安い!)。持ち味としては、社会学的地域社会研究と政治学・行政学における地方自治論の両者に目を配りながら、双方の現在までの展開を学際的見地から考察・批評し、現実の「地域社会」に対する真摯なまなざしを通し、今後の「まちづくり」のあり方に迫っていくスリリングな筆致であろう。個々の批評に重みがありながらこれだけ浩瀚な作品としての完成度、著者はスプリンターでありながら長距離ランナーでもあるような一種の超人なのかもしれない。評者は購入後そのまま通読(伴走)したが、各章のトピック選定も熟考されており、個別に読むこともできる。研究者や自治体職員、学生はもちろん、政治的成熟を果たすべき万人の購読が望まれる。著者は企業社会論などにも精通しており、この本にもその特色が多分に生かされている。近年「TMO」などまちづくり事業に注目が集まる中、理念と具体性をもった計画策定から実施までの手引書としても活用できる(先行事例も網羅的に扱われている)。単なる横文字を輸入するまでに薄っぺらになったアカデミシャンと短絡的な見地に立つ(先ず実行ありきの)おそまつな実践が横行する中、自治とは「自己統治」であると改めて謳う(評者はこれを<まちづくりのLost Treasure>と考える)本書は、副題にある「参加」や「協働」はもとより、現代社会に氾濫する「ことば」の渦の中で窒息しそうになり、心地よいキャッチコピーに悪ノリし、「本気で考えること」を辞めてしまう我々に差し込む一条の光明(あるいは差し向けられた刃)である。通読しつつ、70年代初頭に編まれた『岩波講座・現代都市政策』が思い出された。市民も地域社会も若く力強かった時代。これをノスタルジーに留めることは戒められねばならない。本書の購入を強く推奨したい。