内容は、東京芸術大学美術学部先端芸術表現科教授川俣正の日記やスケジュールなど、フィールドワークの活動記録が中心である。活動内容には、塚本由晴や原広司、今福龍太とのシンポジウムなどでの対談、大学での講義や講演、インタビューが多く含まれる。資料として掲載されているのは、プロポーザル、ミーティング、レクチャー、ワークショップなど。プロジェクトのプランニングや進行状況報告などのボリュームが多い。その中には多くの写真やスケッチ、地図やメモ、ポスター、図面、新聞のスクラップが含まれている。中には東京芸術大学実技ガイダンスとしてグループワークの実技カリキュラムなども載っている。
磯崎新との対談や、2000年9月から2001年11月までのスケジュール帳の写しの見開きレイアウトなどは、日本語と英文の対訳が両方載っており、デザインも特徴的。しかし、500ページ近くで厚みが5センチはあろうかという本なのだが、目次も索引もいっさいない。奥付の前に資料出典などのページインデックスがあるだけという状態である。見た目にはきれいな本なのだが、本の使い勝手がもう少し欲しかった感がある。スケジュール帳の箇所にページ数を入れる、あるいはノンブルの箇所に年数と月数のみでなく日付も入れるなどの対応が欲しかった。
川俣正の活動に興味のある人や、大規模な芸術活動プロジェクトのプランニング、進行手順などを参考にしようという人向けの書籍である。