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エル・システマ―音楽で貧困を救う南米ベネズエラの社会政策

価格: ¥2,310
カテゴリ: 単行本
ブランド: 教育評論社
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音楽は魂の教育! ★★★★★
「音楽が育む生きる目標。スラムの子らにクラシック教育」
こんな新聞記事が目に留まったのがきっかけ。

「エル・システマ」とは、南米ベネズエラで国家的なプロジェクトとして運営されている、
無料(授業料、楽器使用料)で音楽の基礎知識や、楽器の演奏技術を教え、
オ−ケストラ合奏や合唱に参加するする機会を与える音楽・オ−ケストラ教室活動のことである。
 本書では、そのあたりの経緯や社会的な意義等について、
現地でのきめ細かいインタビュ−や取材を通して、深い考察を加えながら報告されている。

 本書冒頭では、次のような問題意識を投げかけている。
 それぞれ、本書を読みとおすことによって、答えは自ずと明白である。
  ○芸術は社会に本当に役立つのか
  ○反ネオ・リベラリズム、反グロ−バリズムの社会政策なのか
  ○途上国での本物の芸術が可能か

 「エル・システマ」は、単なるユ−ス・オ−ケストラ事業ではない。
楽器技術の習得や子どもたちのためのオ−ケストラ活動を越えて、
社会が抱える問題(貧困、犯罪、非行など)の解決に貢献するために展開されている
社会運動でもあるということ。
 オ−ケストラ、合唱などの協調音楽演奏は、演奏家として重要な協調性を磨く訓練だと指摘する件があるが、
「演奏家」にとどまらず「人間」そのもの、まさしく<魂の教育>といえるだろう。 

 今なにかと政治的な動向が注目される南米・ベネズエラ。
音楽の分野にとどまらず、社会的な運動としてすすめられているこの試みを、
日本の文化政策や教育政策の視点から、検証してみることも意義あるように思われる。
音楽、文化、教育、行政などの関係者をはじめ多くの人におすすめの一冊である。
才能発掘のスキーム ★★★★☆
ベネズエラといえば,エキセントリックなチャベスの言動,そして産油国というイメージが強く,失礼ながら芸術の香りがしなかった.しかし,指揮者のGustavo Dudamelや,最年少17歳でベルリンフィルに入団したコントラバス奏者Edicson Ruiz などの世界的な名声を得ている若手音楽家を輩出している国でもある.その育成システムがEl Sistemaである.
ベネズエラは,原油価格に翻弄され,貧困層の拡大,治安の悪化をもたらしてきた.そんな中で30年前から音楽を通じて青少年を育成していこうというスキームが動いてきた.貧しい家庭の子供達でも,地元の活動として音楽を教えていく.楽器も貸与され,教えられた者は上級生になり教える側に回るという拡大的な再生産が続く.そんな中である者は才能を飛躍的に伸ばしていき,ステップアップをしていく.Edicson にしても,経済的には恵まれていない家庭に育ったが,このスキームの中で開花していった.そのベースには,国家の継続的な支援があったからこそ,ここまで発展してきた.
音楽に限らず,才能の発掘と育成という観点から示唆的な本である.
ベネズエラの社会政策 ★★★★☆
1.内容
貧困がはびこるベネズエラは、非行や犯罪を犯すリスクが大きい。それに加えて、日本とは異なり、学校は午前中で終わりなので、非行や犯罪のリスクがさらに大きい。そこで、午後には、課外授業がいろいろ設けられている。その一つがエル・システマで、かなり早い段階から、オーケストラ演奏や、合唱を学べるのだという。そのエルシステマの歴史、内容、オーケストラのレヴェルなどが書かれている。なお、ベネズエラの歴史や、チャベス現大統領の政治スタンスなども書かれている。
2.評価
この本の題名を見た限りでは、もう少しエル・システマのことが詳しく書かれているかと思ったが、それほどではない(たとえば、協調性を養う意味でオーケストラがいいのはわかるが、なぜ音楽かの突込みが足りないように感じた。また、方法論が詳しいとも思えなかった)。そこが若干不満なので星1つ減らすが、ベネズエラの教育・社会政策、オーケストラの可能性、チャベス大統領下の様子(意外と強権政治ではないようだ。もっとも、著者の身びいきはあるかもしれない)が書かれているいい本なので、星4つ。