ベスト盤だけではないですぞ
★★★★★
3DNと言えば、埋もれた名曲を発掘することに長けていた歴史に残るポップ・グループ。シングル・ヒットの数々が素晴らしくて、アルバムはどうしても統一感に欠ける点があるのですが、彼らのオリジナル・アルバムにも大傑作が存在します。それが「ハーモニー」です。このアルバムはシングル・ヒットにもなった「ネバー・ビーン・トゥ・スペイン」で静かに始まります。2曲目は一転ドラマティックな展開を見せ、彼らの最高傑作「オールド・ファッションド・ラブ・ソング」で早くも第一のクライマックスに突入します。
さめやらぬ興奮を静かに鎮めるように4が流れ、ごきげんな5でA面は終了します。B面は発売から3年も経ってからシングル・カットされた「ユー」で始まり、以下は怒濤のラッシュ。これもヒットした「ファミリー・オブ・マン」に突入すると盛り上がりは頂点に達します。
このアルバムの最大の魅力は収録された曲どれもがクオリティが高く、マイケル・ジャクソンの「スリラー」やブルース・スプリングスティーンの「ボーン・イン・ザ・USA]のように、ほとんど全ての曲がシングル・カットされてもおかしくない出来映えです。内容に見合うだけのセールスを記録しなかったのは、ひとえにレコード会社のプロモーションの失敗だと今でも思っています。特になぜかシングル・カットされなかった2は、つい口ずさみたくなるほど印象的なメロディを誇る絶品で、私の知る限りこのアルバムでしか聞けません。これ1曲で十分買う価値があります。