前作『WELCOME TO WHERVER YOU ARE』(1992)から約1年という、思いがけなく短期間の内に発表された今作。彼らがミュージシャンとしての自分たちを足元から見つめ直す事からスタートしたこのアルバム、その姿勢が如実に表れていて、実に小気味のよい作品となっている。ほぼ全曲、曲がストレートでタイト。きちんとした厚みと広がりを持ちながら、余計なものは排除して、力と勢いでシンプルに聴かせる。全体的にスピード感が溢れているのは、1曲が短い事(長くても4分、3分未満の曲が3曲ある)と、各曲の間が前作同様殆んど無く、メドレー状態で畳み掛ける様に進んで行く為もある。ボーナス・トラックLを入れて計13曲収録で約44分という演奏時間は冗長とはほど遠く、無駄なく凝縮されていると感じさせる。中盤のFGHとテンポのややゆったりした曲が続くが、ここはマイケルの歌で押し切ってしまう。なんと言ってもカッコイイのがレイ・チャールズとの夢の共演をしているEである。R&Bの大御所と引けを取らないマイケルのソウルフルなヴォーカルが実に素晴らしい。こういうライブ感溢れるアルバムを聴くと、生の彼らのライブが観たくなる。初心に戻る事の意義を教えてくれるカッコ良くて素晴らしいアルバム。