新しい視点の経済学史として、経済学の可能性として
★★★★☆
同じ著者の「定常型社会―新しい「豊かさ」の構想」定常型社会―新しい「豊かさ」の構想 (岩波新書)を読まれた方がもう少しつっこんでみたいと思ったら、おすすめします。8年分の思索と時代の変化をふまえて、より詳細な絵が描かれています。
とはいえ、これからどこに向かうのか、どうする(べきと経済学の視点からいえる)のかの分析はやはり手探り感がぬぐえません。
それを補ってあまりあるのが前半の分析です。経済学の初歩をかじっただけの私には、バラバラだった経済学の各種理論を一つの軸に沿ってわかりやすくならべ直してくれた一本筋の通った経済学入門書として読めました。また、槌田理論の現代的解釈も興味深いものです。(必ずしもすべての視点と議論に賛同するわけではありませんが。)
私にとっては値段分は楽しめる本でした。