加羽沢美濃のオリジナル作品が好きで気に入っています。ピアニストとしても作曲家としても素晴らしいセンスの持ち主だと思います。一方、バラエティ番組でもよく出演している高嶋ちさ子の持ち味は、温かな低音の響きだと思います。特に歌うような曲の場合に本領発揮しますね。
冒頭の「G線上のアリア」のMINOの前奏がとても印象的です。従来のバッハの厳粛な雰囲気ではなく、フランスのフォーレの音楽ような香りがしました。アレンジもソフトでその軽やかなピアノの上にCHISAのたっぷりとしたヴァイオリンの深い音色がのっていきます。特に低音の伸びやかさと暖かさが持ち味ですね。バッハのオリジナルよりもずっと親しみを感じさせる演奏です。このデュオのコンサートのオープニング・テーマとして演奏されている曲です。多くのファンにとって馴染みのあるアレンジなのでしょう。
ラストに収録されたエルガーの有名な「愛の挨拶」の演奏が、とても温かくて、二人の仲の良さを象徴しているようですね。幸せな気分にさせてもらいました。アレンジもオシャレで、このようなライト・クラシックの選曲は安心して聞くことが出来ます。非常に水準の高い仕上がりだと思いました。
MINOのオリジナル「夢の中の夜明け」と「哀しみのアリオーソ」や、CHISAのオリジナル「明日の風に吹かれて」は、他の有名な曲に負けないほど印象深いものですね。表現力も技術のよさも十分確認できました。
これらの作品に対して2人の思い入れが相当深いのでしょうね。知性的でそして情熱的でヴァイオリンとピアノの2人でもこれだけの音楽表現ができるのだ、と言う可能性を秘めた演奏です。
CDに掲載されている二人の会話形式による曲の解説がとてもステキです。このアルバム恒例のお楽しみの一つですね。普段のライブでもきっとこのように楽しいお喋りをしているのでしょう。二人の人柄が伺える箇所が随所に見うけられますので演奏を聴くときの助けになりました。
ブックレットには普段のライブのMCのような会話で、曲の説明をしてくれています。
これもまた楽しみの一つで二人の関係が見えてくるそんな感じです。
G線上のアリアが誰の曲か知らなかった裏話を聞くと、エリートコースを辿ってきたピアニスト美濃さんの愉快な面が垣間見え、親しみを覚えます。