鶴見和子と石牟礼道子の対談。

人間には言葉を超えたところ、魂が語りかけてくるところがある。

石牟礼道子の水俣の経験や鶴見和子の病気の体験から、そのことを語り合っている。

そういうものを僕たちは日々の暮らしの中でどれくらい捉えられているのであろうか。

何年か前、講演会で初めてお話を伺って以来、鶴見和子さんはあこがれの人でした。切れ味の良い言葉の裏に限りない優しさを秘め、しかもおきゃんなお嬢さまのような育ちの良さが行動や言葉のはしばしに現れていました。ぼくはそれから「一目惚れ」を信じるようになりました(^^)。

鶴見和子さんの書く本はどれも魅力的なんだけれど、やはり研究者ですから学問的で難しい言葉遣いや表現が多く、とりつきやすいとは言い難いものでした。ところが、この本は、石牟礼道子さんという気の合う友人を相手に、二人の関心事項を語り尽くすという趣向。「近代を問い直す」というテーマは変わらないのに、日常生活で語られる「丸い言葉」で語られているため、彼女の魅力的な面が存分に発揮されています。惚れ直しました。