人生の達人
★★★★☆
お馴染みの御両所が雑談風?に宋の時代の名臣とその言行について語り合う。
貞観政要がトップのための人間学なら宋名臣言行録はさしずめ中間管理職向けという
ところであろうか?
個人的に心に残ったのは欧陽修。大きな郡で統治しづらいといわれるような場所に赴任
しても、わずか半月の間で問題の大半が片付いてしまい、一、二ヵ月もすると郡の役所
はお寺のように静かになったという。その秘訣を問われて欧陽修は「わがいわゆる寛とは、
苛急をなさざるのみ、いわゆる簡とは、繁砕をなさざるのみ」と答えたという。
(余計な押し付けをせず、繁雑なたらい回しをしない)
まさしく、修養を積んだ人の姿といえよう。このような境地に至りたいものである。
欧陽修はこんな言葉も残している。「道を学ぶこと三十年、得るところのものは怨悪なきのみ」
〈自分は三十年もの長い間一所懸命に修養したけれども、そこで得たことの結論は人を怨ま
ないことに尽きる)なるほど。実に簡素である。