死ぬほど愛したことがありますか?
★★★☆☆
喪服を着た警察官・清司(椎名桔平)とリストラ寸前のヤクザ・立夫(柄本明)。自殺した女(清司の妻&立夫の愛人)の葬式に出席するために、雪道をひた走るロードムービー。「文子はオレを愛していた」今さら確認しようもないことでグチグチと言い合いをする清司と立夫の映画前半のダラダラと続くシーンは、まさに『パルプ・フィクション』のパロディ。道中に知り合ったカップルの若い女と映画好きな立夫との会話の中でも、タランティーノの名前が出てきたりして、遊び心をかきたててくれる出だしになってる。
後半は、白黒シネマスコープで撮られた映像に見合ったハード・ボイルドな展開へとなぜか急変する。男は“運命の女(ファム・ファタール)”を死んだ後でも愛することができるのか。こんなバカげたことに本気でやり合う男たちは、そのままフィルム・ノワールのパロディともなっている点に注目したい。死んだ人間をいとも簡単に甦らせるという演出に一瞬とまどう人もいるだろうが、この映画の場合、「死ぬほど愛したことがありますか?」って程度のノリで軽く流しておけばいいような気がするのだ。