「アメリカ世」だった頃の沖縄
★★★★☆
沖縄の米統治下時代「アメリカ世(ユー)」について、以下の様々な視点から描く
1. アップルパイ
2. アメリカグチ(耳から覚えた米語)
3. 米軍人に人気のココイチカレー
4. スラブヤー(コンクリートブロック建築)
5. SPAM(ポーク缶詰)
6. 京都ホテル@コザ
7. 反戦宣教師
8. 外人向け賃貸住宅
9. 英語オンリーのラジオステーションKSBK
ひとつひとつの話はなかなか面白い。
これまで「オキナワ」を語るときに意識的に無視されてきた、「アメリカ世」のBright Sideを照らし出してくれる。アップルパイやSPAMなど軽めの話題についてはこの分量でよかったと思うのだけど、京都ホテルや反戦宣教師など重めの内容については、もう少し突っ込んでもらえるとさらによかったかも。
「アメリカ世」を知る
★★★★★
独立国家であった琉球王国は,明治維新時に日本国に併呑され,第二次世界大戦後はアメリカの支配下に入る.沖縄は一時期,間違いなくアメリカの一部だった.日本人が本気で沖縄のことを考えるなら,アメリカ統治下の沖縄のことも知っておくべきだろう.
作者はほとんど残されていないわずかな資料を頼りに「アメリカ世」の沖縄を,自らの感情を抑えつつも力強く伝えてくれる.本書を読み終えると沖縄に行きたくなる.観光地としてではなく,琉球の歴史を見に行くために.
沖縄のなかのアメリカ
★★★★☆
独立した琉球王国から、日本へ一方的に吸収され、そこから先(琉球王国から現在の沖縄までを3つの「世(ゆー)」としている)の沖縄の文化を語った1冊。沖縄生まれではない著者がなぜ沖縄を語るのか?その根本には、著者も基地近くで育ち、アメリカの影響を無視できない環境にあったことが1つにある。自分の住環境にも基地沿いの道路があったことから、沖縄本島を貫く58号線沿いを中心に考察している。
沖縄の「アメリカグチ」(カタカナ言葉をアメリカ訛りで日本語化すること、「ガーデン」は「ガーレン」、「ツナ」を「トゥーナ」など)、CoCoというカレー屋が基地の人たちに人気があること、沖縄名物コンクリート・ブロック建築の功罪、ハムのSPAMについて、2007年に閉じてしまった京都ホテルの歴史的側面、米兵が起こした交通事故をきっかけとした暴動やキング牧師の公民権運動、沖縄の宣教師について、ラジオ局KSBK、琉球大学について、アメリカの基地の倉庫から物品がなくなることについて取材しようとしていたときに著者が偶然読んだというオースターの『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』に収録されていた似たような話(著者がこの話を読んだこともまた僥倖といえる)、また、沖縄の人たちが、アメリカの文化に影響を強く受けていて、そのアイデンティティが揺らいでいるあたりは、帰国子女のようなものだった。
ところで、NYの「国際ゴキブリ品評会」なんて初めて本書で見たのだが、そこで沖縄のゴキブリが2年連続で優勝とか。一説には殿堂入りという話も・・・(笑)
アメリカ世だった頃
★★★★☆
沖縄が返還される以前、アメリカに占領されいた事実は史実として知っている方は多いと思います。しかしそれがどういう現実だったのかを知っている人は少なくなっています。
この本は良いことも悪いことも、それを受け入れて生きてきた人々の回想録ともいえますが、その背後には、植民地という主権のない厳しい状況が垣間見えます。
そんな嫌いなアメリカ、憧れるアメリカという矛盾した感情を抱いて生きてきた人々の逞しさを感じる本でした。
沖縄がアメリカだったころの話
★★★★★
沖縄って、アメリカに占領されていたんですよね。
歴史の事実としては、しっているんだけどね。
著者は、1961年生まれとあるから、沖縄が日本へ返還されたときには、12〜13歳。
はっきり、返還の記憶がはっきりしているのではないのかな?
返還されたのが、1973(だったっけ)だから、今から36年前。
そのころを覚えている人たちに話をきくと、”ナンクルナルサー”の精神で、結構楽しくやっています。
むしろ、返還されなかった方がいいんじゃない? と思えるくらい。
じゃあ、基地問題ってなんなのかなとも、思いました。
ただ、著者はこのような野暮なことは言いません。
タイトルになっている、アメリカのパイとは、アップルパイのこと。
そんな、甘いエピソードからはじまる、素敵なノンフィクション。