初めて「死」と遭遇する子どもへの慈愛
★★★★☆
殺された子どもの想いを描いた内田が、今作では「私」の「死」を孫に語りかける言葉を綴ります。
自分を好きだった孫は、自分の死の知らせを聞けばきっと泣くだろう。それは弱虫だと思う。でも自分は弱虫が好きだ。
と語り始める内田の言葉は、初めて「死」と遭遇する子どもへの慈愛に満ちています。静かな、そして静かな。(ひこ・田中)
ガツンとくる本です
★★★★☆
身内が亡くなった友人に送りました。少しでも支えになれば、と思って。
死を扱った絵本には「泣いてもいいよ」というようなものは多い気がしますが、この本のように「なきすぎてはいけない」とガツンと言ってくれる本は珍しいと思います。
この本は、亡くなったおじいさんが、孫に
「悲しいんだからないてもいい。でも、なきすぎてはいけない。私はおまえがわらった顔が好きなのだから」と語りかけます。
友人にも、「亡くなった人は、きっとあなたの笑顔が戻るのを待っているよ」と伝えたくて…
作者のメッセージは、友人にも届いたようでした
愛しい孫へ
★★★★★
でも わたしはよわむしがすきだ
よわむしのおまえがすきだ
よわむしは
ひとのかなしみを おもいやれるから
人はだれでもいつかは亡くなる。
おじいちゃん子だった孫への、祖父のメッセージ。
死というものを理解できなかった幼い孫も
青年になり、父親になり、祖父になって、
自分の孫へと、いのちのバトンをつないでいく。
やわらかくてやさしい色調の絵が
せつないメッセージと相俟って、胸に迫ってくる。
「なきすぎてはいけない」、君の笑顔が好きだから!
★★★★★
なくなったものは/だれも/いきているものの/しあわせをいのっている/ただ それだけを/ おじいちゃんの大好きな男の子。男の子の大好きなおじいちゃん。いつも、一緒にいたいけれど、おじいちゃんが逝ってしまった。おじいちゃんが、男の子にいいます。おじいちゃんのために、泣いてもいいけれど、泣きすぎてはいけない。おじいちゃんの好きなのは、男の子の笑った顔だから。作者の内田麟太郎さんが、ご自分のお孫さんへの思いを込めてかかれたもの。たかすかずみさんのやさしいタッチで描かれた絵が、その思いにこたえてくれています。2009年5月発行
しんみり
★★★★★
図書館で読んで思わず涙ぐんでしまいました。
過去に近しい人をなくされた経験がある方に読んでほしいです。
ただしんみりしてしまうので引っ張りこまれすぎないよう注意です。
内田さんの本はとんでもなくはっちゃけた子どもの心丸出しの本もあり、
ご自身の子どもの頃の思い出をリンクさせて書いてらっしゃるのかと思うようなハッとする本もあり。
この本は後者です。両方書くことで内田さんができているのかなと思います。