十回忌…どんとに替わる存在は未だ現れず。当然だけど。
★★★★★
これは、どんとという個性が音楽の一ジャンル、しかも巨大な一ジャンルを呑み込んでしまった非常に稀有な作品だ。彼らの標榜したガンボ・ミュージックというもの自体が元々様々なジャンルをまぜこぜにしてできたもの(ガンボというのはニューオーリンズ地方に伝わる「ゴッタ煮スープ」のこと)なので、そこに日本人としてのエッセンスを加えただけではガンボ・ミュージックの鍋からはみ出すものにはならない。ところが、どんとが演ったとたんにそれはジャンルを超越した“どんとの音楽”になる。
彼らの名刺と呼ぶにふさわしい「助けて!フラワーマン」。この一曲だけで、彼らがどんなバンドでどんな音楽を演ってゆくのかというステートメントになっていた。勢いがあって、突き抜けていて、パッションがハジけていて、カラフルで、グルーヴがあって、摩訶不思議で…何より紛うことなきニューオリンズ・サウンドなんだけど完全に彼らのオリジナルなスタイルでもある。
たたみかけるように、ラヴ・ソングも彼らにかかるとこうなる「泥んこ道を二人」、ユーモラスの極み「魚ごっこ」、本作の中では最もロック色の強い「ダイナマイトに火をつけろ」、そしていつでも聴き入ってしまう「夢の中」etc.と続く前半は改めて聴いてみても鉄壁だ。後半は比較的見劣りするものの、不謹慎なユーモアにニヤリとさせられる「見返り不美人」、「夢の中」と双璧を成す詩情溢れるバラード「トンネル抜けて」など聴きどころは随所にあり。最高。
日本のロック史に残るアルバム
★★★★☆
このデビュー・アルバムは1989年4月にニューオリンズでレコーディング;7月に発表したもので、ボ・ディドリー、シリル・ネヴィルが参加しています。もちろんバンド名の「ボ」はボ・ディドリーから取ったもの。「ガンボ」は「ごった煮」の意味らしいですが、ドクター・ジョンのアルバムも意識しているような気もしますね。1987年11月にステージ・デビューを飾り88年の一年間に100回以上のライヴをこなしたことでこのアルバム発表前には既に知名度が高く、このアルバムはデビュー作なのに「新曲2曲収録」と書かれていたのも有名です。
個人的にはキョンのピアノが好きです。リズムがシャープで、カラッとしていてすごく気持ちいい。粘っこいどんとの歌との対比で余計に鮮やかです。総じてメロディもいいし、ぱっと聴いて耳に残るインパクトがあります。ただ、どんとの歌は、人を引き込む魅力がありますが、かなり音程が不安定で、正直ちょっと気持ち悪い。・・・それでも日本のロック史に残るアルバムなのは確かでしょう。
衝撃は今もここにある
★★★★★
高校の頃に聴いたデビューアルバムを再度聴きたくなり買ってみた。
やっぱり凄いバンドでした。
どんとの詞の世界観とニヤリッとさせられる言葉遊び。曲のグルーヴやKYONのピアノの調べ。素晴らしいです。
曲のクオリティは秀逸な曲ばかり。
特に挙げるならば『夢の中へ』は最高傑作だと思います。
血がおどるよ!
★★★★★
彼等を初めて知ったのが、’泥んこ道を二人’でした。瞬間、はじけました!世間的にメジャーなのは’魚ごっこ’だけど、このCDはほかにもてんこもり。バラードも良くて、’トンネルぬけて’は私をとりこにしました。曲と詩がせつなく、だけど暖かくて素敵です。他曲も彼等のビートがずんずんきて、すばらしいですよ!ぜひ聴いてみてください。血わき肉おどるってこのことかな?
東京にいてもニュー・オリンズにいても聴きたい一枚
★★★★★
ある日NHKのテレビで「魚ごっこ」という歌を化粧をした男が独特な声で歌っていた。後でそのバンドが「ボ・ガンボス」だと知った。清志郎とどんとは日本の元祖ビジュアル系です。「魚ごっこ」の不条理な歌詞とキョンの美しくラグなピアノにまず"やられた"のが最初ですが、Bo Diddleyとの共演が楽しい「ずんずん」も、そして振り向いてもらっては困る女性へのオマージュ「見返り不美人」、会社や学校にムシャクシャしたら聴いてほしい「ダイナマイトに火をつけろ」、キョンがVo.を担当して鍵盤が弾けてとんでっちゃいそうな「ワクワク」。「助けて!フラワーマン」「泥んこ道を二人」もノリがよく元気を与えてくれますが、「トンネル抜けて」「夢の中」はちょっと切ないスローな感じで夕暮れか夜のドライブにお似合いの曲たちです。このCDは日本のR&Bにおける名盤の一つに数えられるのでは?と思います。嬉しいことに2005年1月26日には幻のビデオ名作「宇宙サウンド」「HOT HOT GUMBO」のDVD再発売も決まったようで、やはりどんとの魂はズンズンと永遠に我々の内側で響きまくっているようです。