ブライアン・ウィルソンは1988年ついにソロ・デビューを果たしたが、これは非常に歓迎された。だが残念なことに、ビーチ・ボーイズ後のポップスターとしての絶頂期に制作され自らタイトルをつけた11作を含むこのアルバムの売り上げは芳しくなく、1960年代のヒット作品にプライドを持つウィルソンと熱烈なファンはともに肩を落とした。1曲目 『Love And Mercy』は、ウィルソンの復活を飾るのにふさわしい。歌詞も音楽も素晴らしく『Wouldn't It Be Nice』と同じくらいオープニングに最適だ。その他もウィルソンと共同プロデューサーら(Russ Titelman、Jeff Lynne、Andy Paley、Lenny Waronker)により、にぎやかで遊び心のあるロック (『Night Time』、『Little Children』)、 ポップス風の手の混んだ作品 (ア・カペラの『One for the Boys』、『There's So Many』)、意欲作『Rio Grande』などが作られた。 リイシュー盤だが、インタビューやデモ版、1980年代の貴重な作品、そしてB面収録の『He Couldn't Get His Poor Old Body to Move』などもあり、新鮮だ。Steven Stolder