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離れ部屋

価格: ¥2,415
カテゴリ: 単行本
ブランド: 集英社
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頑張ったねと、主人公にそっと語りかけたくなる ★★★★★
著者の16歳から19歳までの内面を綴った半自伝的小説。頁数の割にはかなりのボリュームといっていい。(加えて紙質も薄く、書体もギッシリしている)読み通すのには些かの時間を要するのだが、読了した時の包み込むような柔らかい感動が素晴らしい。それもこれも著者の筆致の繊細さ、瑞々しさの成せる技だ。16歳から19歳の「わたし」。その移ろい行く日々の情景、人間模様、心の奥底に潜む孤独感を表すかのような自問の数々。終始物静かな内向的なトーンで濃密に語られる彼女の様々な想いは、いとおしさを感じる程にとても切ない。そして彼女の目線で語られる当時の社会情勢も見逃す事は出来ないし(個人的には、このあたりに一際注目させられた)、更には逆にフラッシュバックさせられるかのように、本書を執筆中のリアルタイムの「わたし」へと引き戻され、過去と現在との葛藤が随所に現れる等、読み進む毎に心に深く染み込む好著である。読了後、ジャニス・イアンの「17歳のころ」が無性に聴きたくなるような小説である。
次の韓国の旅ではここに行こうか ★★★★☆
この前旅した21世紀のソウルの郊外の下町が、小説を読みながらしだいと私の中で26年前のソウルと重なってきた。
この小説は田舎からやってきた16歳の少女が、九老工業団地で働きながら、永登浦夜間女子高校に通った四年間を自伝的に描いたものである。時代は1978年から81年。朴正煕大統領の暗殺、80年光州事件があり、徹底的な労組敵視会社運営、それに対する激しい闘争があった。しかし小説の視点はつねに『16歳の私』『17歳の‥‥‥』というものである。文章は散文、あるいは詩的。
私のたった22日間の旅では見えないものがここにある。
韓国人のイメージは常に前向き、声が大きいというものなのだが、この主人公は恥ずかしがり屋であまり声をださない。
いろんな時代、いろんな生活、いろんな韓国人がある。当たり前のことではある。
法律を無視して労組つぶしをする会社を見ていると、昔の日本を見ているようであり、現代の日本を見ているような気もする。
肌のにおいがするような文章を読んで、私は次の旅では必ず永登浦駅と九老工団駅で途中下車しようと心に決めたのであった。