シングル盤も同柄のテレホンカードも持っているにもかかわらず、またしても懲りずにこのジャケに引き寄せられて購入してしまった。(おいおいっ)しかしそんな「もしも空を飛べたら」よりも「不思議色ハピネス」のシングルバージョンと、そして「南国人魚姫」は秀逸で、暑い夏に聴くアイドルポップスとしてはこれ以上に無い位の素晴らしい曲で何度聴いても気分ノリノリ♪

シングル曲以外に名盤たるファーストアルバムからの曲が多く入っているが、言葉遊びも面白い「LIKE A HOLLY」にやたらテンションの高い「銀の砂」など目玉曲揃い。「銀の砂」は当時「I DO,YOU DO」「tamatebako」などテンションが上がり過ぎて正にノリにノッていた頃の太田裕美が作詞作曲で超高速で鳴る木琴みたいな音とあたかも裕美本人のような舌足らずのボーカルが爽快な凄まじい曲。

個人的にはリマスタ音源としての「BISHONURE」収録の曲(18、19、20)の具合がどうなったかな〜と思いつつ聴いてみたが、当時の録音状態などもあるだろうし、ボーカルや演奏など臨場感が大幅アップするようなリマスタとはならなかった。それでも1枚物のベストアルバムとしてはとても良くまとまっていると思うのでとてもおススメ。購入された方は、買ったことがばれないようにCD棚の奥に隠しておきましょう。

イメージソング「もしも空が飛べたら」を含むベストなのだが、この1曲だけで満足。松本隆×筒美京平コラボ中の傑作!「風の谷のナウシカ」同様、宮崎監督にとっては黒歴史なのだが、透明感のある声に素晴らしいメロディ。まさに風に乗る一曲!

「不思議色ハピネス」を筆頭に、初期の音源には弾けるフレッシュさがストレートに出ていて、とても元気になれます。ところがYOKO & LOOK OUT名義になってからは、歌の表現力やテクニックは随分とついているはずなのに、なぜか心に響かないんです。それは単純にロック路線が合わなかったとかそういう問題だけではないように思います。ある種、消化不良のままに世に出していった音源なのかなとすら思います。そういう意味では、小幡さん自身も納得のいく時期ではなかったのかなあと邪推します。

ただこのベストで、全ての時期を網羅できるのは決して悪いことではないと思います。アイドルが時代の波の中で、さまざまな身の振り方をしていったことも、今、こうして聴くときには重要なことではないかと思うからです。ですから、後期の歌のもどかしさもまたアイドルという存在の儚さといったものを痛感できる事象だと思うのです。

えーと、｢1〜3｣が、｢魔法のスター･マジカルエミ(昭和60年6月〜昭和61年2月)｣のアニメ内で実際に流れていた曲で、｢4〜8｣はその｢マジカルエミ｣のイメージソングとして歌っていた曲、｢9｣は｢1｣の別版です。
…そこまで｢マジカルエミ｣の印象が強まった後で、不意に｢10｣で｢天空の城ラピュタ(昭和61年8月)｣のイメージソングが流れる、と言う展開は結構鮮烈ですよね…^_^;。
そして、｢15〜17｣が、ロックバンド｢YOCO＆LOOKOUT｣のボーカルとしての曲なわけですか。なるほど(#^.^#)。

さて、聴いた後、｢マジカルエミ｣の印象が強く残るか、｢天空の城ラピュタ｣の印象が強く残るか、それは聴いた人次第ですけどね。
これと一緒に購入するのを勧めたいCDとしては、｢君をのせて…はるか｣と｢太田貴子ゴールデン・ベスト｣を推挙したいと思います。特に、最後の｢20｣が｢10｣つまり｢天空の城ラピュタ｣イメージソングのライブ版(｢ラピュタ｣の年にあったコンサートのもの)なので、それと｢君をのせて…はるか｣の方にある｢君をのせて｣(｢ラピュタ｣から17年後のコンサートのもの)と聴き比べてみるのも、一興かと思います(#^.^#)。

85年6月1stEP「不思議色ハピネス/あなただけDreaming」、85年12月1stアルバム「PEARL ISLAND」10曲中7曲（86年1月2ndEP「南国人魚姫/SHINING BOY」を含む）、86年5月3rdEP「もしも空を飛べたら/ヴァージンロードなんかいらない」、86年10月3rdアルバム「KEY OF GOLD」10曲中3曲、彼女のバンド「LOOK OUT」名義の87年6月1stアルバム「LOOK OUT！」11曲中3曲、86年7月2ndアルバム「B･I･S･H･O･N･U･R･E YOCO」（1stコンサート収録）11曲中3曲の、全20曲を収録。3rdアルバムではロック色が強まり、その後活動形態もソロからバンドへと変わる。
本作の最大の売りは、最初の3枚のEP6曲がきちんと収録されていることである。彼女の最高傑作はやはり1stEPの2曲（80年代全開！）である。ちなみこの2曲はNTV系アニメ「魔法のスター・マジカル・エミ」のOP＆EDであり、2ndEPのA面は同アニメの挿入歌、3rdEPのA面はアニメ映画「天空の城ラピュタ」イメージソングということで、彼女の名をご存知の方も多いだろう。
ただ、本当は1stEP＋1stアルバム＋3rdEPの全14曲収録の、「初期音源全曲集」にして欲しかった。ライブ音源やロック路線に転向後の楽曲を中途半端に収録しているため、作品全体としてはやや統一性に欠ける。