初歩的なことからかなり発展的なことまで、簡潔且つ詳しく解説されて
いて、著者の誠意が伝わってきます。素晴らしいです。

「フォレスト」はもちろん、「英文法解説」にも載っていないようなことまで
言及されており、しかもそれが細かいだけの使えない知識ではなくて、
ニュアンスを表現する上で非常に役立つ知識である点がすごいです。
ここまで網羅性の高い文法問題集はないのではないでしょうか。
この本のおかげで、今までわからなかった細かい点や、気になっていた
文法事項等、いくつもの謎が解けました。

桐原の即戦ゼミのような見開き完結型の本で、繰り返し解くのに便利な
作りです。しかし受験用の本ではないため、より文法の本質に迫る問題
に溢れています。
これをマスターすれば、実用の範囲の文法はほぼ完璧でしょう。しかも
前作「All in One Excercise」にはなかった語法問題も充実しています。
さらに付属のCDやHPでのサポートまであって、素晴らしすぎます！

ただ、誤植が少々あるのが残念です。レイアウトももう少し工夫できる
ような気もしますが、それは好みの範疇ですね。
今度は、このクオリティの文法参考書を作っていただきたいです。

一見、分量が多く感じますが、一定のレベルを目指すなら、最初からこれ１冊に取り組むのが逆に効率的と感じます。
例えば基本的な英作文の速習に特化した本など、便利な本は多いですが、どれも何かの目的に特化して構成されています。
次のレベルに進むにあたり、自分の足りない部分に合った教材を探さなければいけませんが、そういうニーズにあった教材は意外に少なく、便利な教材は、長い目で見れば、不効率な勉強になりやすい側面もあります。
これ一冊で、文法の基本の確認やヒヤリング、音読などを繰り返し重ねれば、とても効率的に幅広い英語力の勉強が進められます。

前作のAll in oneが良かったのでこちらも買ってみました。これも「直球勝負！」で作者の熱意がびんびん伝わってきて、これを全部マスターしたらすごい英語力がつくだろうなあとわくわくします。

問題の説明は基本的な事項はさらりと流し、難しい部分を丁寧に説明してあります。「これは文語的な表現で会話では使うのは一般的ではありません」みたいな実際に使う場面を想定したコメントもあって実戦的です。

設問の英語が生き生きしてて楽しいです。例えば「カカがロナウドにパスをすると、ロナウドは25メートルの距離から鮮やかなシュートを決めた」みたいな映像が目に浮かんできそうな文とか、as ifの設問で「彼はまるでジャガイモを口の中に入れているかのような話し方をする」とか笑ってしまいそうなのがたくさん出てきて、リーディングの素材としても十分楽しめます（全英文に和訳と音声がついています）。

あと、句動詞や前置詞の説明がわかりやすいです。僕はbreak upとかgive inとかの熟語がどうも苦手なんですが、この本ではただ覚えなさいというのではなくて、break upは「壊れて（break）破片が上に飛ぶ（up）」というイメージから「ばらばらになる」「分解する」になるだとか、give inは「中にあるもの（in）を出す（give）」から中身が出て空洞になり「つぶれる」そして「屈服する」になるとかの覚え方が載っているんです。他にも、fit, match, suitの違いやdoubt, question, suspectの違いなどの単語の使い分けコーナーも役に立ちます。

大切そうなことがぎっしり詰まった本なので、楽しみつつじっくりマスターしていこうと思っています。

All in one, Re-start, englishXenglish、本書の旧版など、リンケージ倶楽部の本は全部もっており、englishXenglish以外は一通り読みましたが、とにかくリンケージ倶楽部の英語参考書は、すべて誠実。読者、学習者本位のお客様志向が徹底している。５００頁を越える厚さの本にMP3で全問題文の音声が入っており、全頁のPDFまで入っている。

内容も、標準的な問題から日本人学習者の弱いところを徹底復習させてくれるもので、うたい文句どおり、この本を極めたら他に問題集はいらないと思う。All in oneもそうだが、とにかく手軽に最小限の努力で使える英語（文法、語法）を身につけたいという非現実的な願望を持っている人には向かず、本代を捨てることになるだろうが、仕事や試験に向けて英語の実力を付けたいと思う人には必読書になるのではないか。

ただ、大手出版社からの出版物ではないせいか、リンケージ倶楽部の本は校正不足で、誤植やミスが多く、HPで掲載されている長い正誤表で修正していかなければならないのは残念で、この出版社の出版物の大きな課題だろう。その点を差し引いても★５は変わらない価値のある、誠実な問題集であり参考書であると思う。

この本は質実剛健と言うか、ややとっつきにくい印象があるが、内容自体はかなり良い。そこそこの英語力の大学生が文法・英作文のバイブル書として取り組むに値すると思う。教える側の人間から見ても参考になる解説が多い。

設問は和文英訳式や誤文訂正が主流で「フィーリング」では解けないのが良い。

また、誤文訂正の問題集でありがちな、生徒が間違った解答を記憶してしまう、という弊害についても、全設問の正解の英文をエクセルシートで再掲載し、英文の吹き込みまでしてあるから、正しい英文が音声とともに身につけられる。（正解英文の吹き込みは他所の問題集も大いに見倣ってほしい）

あと一つ良さを挙げるなら、設問の英文に「力」がある。文法の問題や参考書の例文というと試験問題からの抜粋か、実用性のないものが多いが、この本の全英文のテキストデータを見ていると、良質な英文集を読んでいる気になる。

一方、改善されると良いと思ったのは、レイアウトと文法索引。

左右見開きで設問と解答・解説が完結しているのは効率的だが、初見では左右頁の情報が同時に目に飛び込んできて文字の多さに圧倒される。左頁が設問で右頁が解答＆解説というのがよりはっきりわかるようなメリハリがついたレイアウトにできないものか。

文法索引は頁数の制約もあろうが、冒頭の文法索引よりも細かな（旺文社のロイヤル英文法の巻末索引のような）文法索引があれば文法辞典的な本としても使えてメリットが増すと思う。

使いやすく、デザインもスッキリしている。ウエストの筋肉が掴まれて、持ち上げられているような感覚。セット方法も装着も楽で、長く続けられそう。効果がすぐには？なので、星4つで。