期待で幕を開けた改革は、その進行に伴って主人公の期待とは違う展開を見せていきます。第一部で改革の夜明けの薄明かりに希望を感じたものの、さらに明るさが増して見えてきたのは綺麗なものばかりではなかった。第二部下巻の哀しい最後を予感させる不安が感じられる巻です。
旅の留守中に村民が一揆に参加した様子なので、帰って懇意な百姓を呼んで事情を聞いても「誰もお前様に本当のことを言うものがあらか。」と言われ主人公は「上に立つ」ものであることのさみしさを感じます。この挿話などは、上下関係の壁は何時の時代でも、きっとどこの国にでもあるのではないか、と改めて感じさせます。100年以上も経っているのに、人はあまり変わってなどいないかもしれません。