小明さんから目が離せなくなりました。
★★★★★
小明さんを知ったのはまだ最近ですが、不思議な魅力をもった方だと思います。
お姉(小暗)さんに対する複雑な情であったり、明るく振舞っているのにネクラな一面が覗いたり、下ネタに寛容な雰囲気をもっているのに男性不信なところがあったり、と一面的な見方では捉えられない複雑さがあります。台湾留学の前後の頃の文章を読むと、相当辛い想いを綴っていましたが、同時期のブログを合わせて見てみると、楽しい留学生活を送っているように書かれていました。
この本は、公開のブログと非公開の日記を合わせて書籍化したということなので、小明さんの心の内と外とが混在していて、総じてブログでは明るく振舞っていながら、その内では、辛さを抱えながら非公開の日記に想いを綴っているようです。
最近の小明さんのお仕事を拝見していると、落ち着いて楽しくやっているように見えますが、非公開の日記に、公開できない辛さを吐き出したりしていないか心配しています。
それでも小明さんの文章を読んでいると、心のやさしさや細やかさをとても感じます。彼女には、アイドル(兼ライター)として人気を得ることもさることながら、とにかく幸せになってほしいと切に願っています。
大丈夫だ
★★★★★
すごく癖のある内容だが読ませて笑わせて、そして頑張れ、大丈夫だからと
応援したくなる一冊だった。誰にでも上手くいかないことってあるが、
小明さんの場合それは全て盛大な空振りとなる。
読んでるとなぜ空振りになるのかが、読者にも分かるけど、それじゃあどう
すればいいのかと聞かれると、よく分からない。その空振りは小明さんに
しかできないぐらいキャラクターはたってるんですよ。それに面白い。
でも、周り的にどうなのってなるのも多いです。きっと小明さんは時代を
先取りしすぎたのだ。でもこの本できっと大丈夫だ。空振りしすぎて、
一周して帰ってきてると思う。
小明さんは魅力的☆
★★★★☆
小明さんのブログは以前から愛読していたんですが
本を出した事を最近知り、早速購入し、読みました。
よく、そこそこ売れているアイドルだったりタレントだったりが、「昔は色々苦労しました」的な告白本を出していますが
そういうものにはイマイチ興味が湧きませんでした。
著者はグラビアアイドルとしてデビューしたものの、パッとせず、事務所側に過激な着エロの仕事をさせられて、心身共に病んでしまい…とかなりの苦労人。
現在はフリーのライターとして、いくつかの連載を持ち、そこそこ地道に活動しているが、言っても“知る人ぞ知る”存在である。
彼女がもし、テレビにも沢山出て、タレントとして売れっ子だったら、この本が出版される事は無かったし、もし出版されても内容に真実味が無くなるだろう。
彼女の書く文章は、人を惹き付ける力がある。
仕事でも、プライベートでも彼女の身に辛い出来事がことごとく降り掛かるが
彼女はそれを、独特のユーモア溢れる、自虐的な文章に変え、読む人を笑わせてくれる。
本人は辛気臭い日記と言っているが、全然そんな感じは受けなかった。
むしろ、自分の墜ちていく過程を逆に楽しんでいる様な…?
爽快感さえ漂う感じでした。
小明さんはグラドルとしてはやっていけなくても
ライターやコラムニストとして、十分やっていける才能が備わっていると思います。
これからも、陰ながら彼女の活躍を応援していくつもりです。
隠れた才能、開花の予感。
★★★★★
近年芸能人を中心とした告白本やカミングアウト本がブームの様である。湿っぽくて、真偽を問いたくなるものが多く出回っているが、この一冊はリアルを感じ、それでいて湿っぽくなく、読み終えた後不思議と清々しい気分になった。何より著者の文才の良さが功を奏している。辛く悲しいエピソードでも、著者が持つ独特のユーモアセンスとウィットに富んだ表現のお蔭で、意外と楽しく読めた(2005年の事務所との軋轢と2007年の台湾留学の件はえげつなく、読むのが辛かったが・・・)。
グラビアアイドルとして活動したものの泣かず飛ばずで、心身ともに病んでしまい、著者自身「ダメ人間」と称しているが、決してそんな事はないと思う。先述の通り著者のユーモアセンスとウィットに富んだ表現が文章として最高の仕上がりとなっている訳だし、ライターとしてやって行ける文才は十分あると思う。
読み終えた後、著者のブログや某サブカル系雑誌の連載コラムを読んだ。本当に面白かったし、内容もとても良かった。かなりのサブカル通との事で、辛酸なめ子と同じそっち方面のライターやコラムニストとして十分通用すると思うし、とにかく書きまくれば隠れた才能が開花するに違いない。また新たな著書が楽しみである。著者の将来性にとても期待している。
墜ちていくリズム
★★★★★
いちから勉強しないでも自然にできちゃうことと、何をどうしようが絶対にできん!ということのギャップが激しいひとのことを「ダメ人間」とも「天才」ともいうが、この本はそういう意味で、天才の仕事だと思った。
わたしは今まで、どんな状況でもプラス思考へと転化するように努めて生きてきたけど、この本では、プライドを持った人間なら隠し通すであろう側面が、日記5年分のためこんだ負の力となって読む者にのしかかり、どん底へと引きずりおとす。いままで自分が無理してやってきたプラス思考が、もはやしょぼい自己欺瞞にしか思えなくなってしまうほど、小明さんの〈負〉の志向は深い。だいたい、1日4時間も森田童子を聴いていますというアイドルが、彼女のほかに一体どこにいるんですか…(いたらすいませんです)。
一方で、その「深さ」が、自虐的にキャラを演じることと、歌のようなリズムを獲得することで形ある表現へと変わり、ところどころミラクルな横滑りを発生させ、爆笑してしまう。
「先が見えない、見えないんだ! 練炭だ! 練炭を持ってこい!」(2005年4月18日の日記より)
心からの叫びのはずなのに、いったい心のどの深さでこんなことをいっているのか、まったくもってわからん…。内容は悲惨なのに、リズムはすっかり歌っている。深く沈むことと、表面で跳ねることがひとつになっている。その言葉には、軽さや重さという区別もなく、ただかげりゆく日々のはずみのようなものだけがある。だから、わたしも最初本を手に取ったときは「うわ…文字だけか」と思ったけど、面白すぎて一気に読んでしまった。これはたぶん、日記一般の特徴ではなしに、心身を病みやすくさらに表現力があるような人でないと、絶対にできないことだ。わたしはブログ素材の本を初めて読んだけど、そこが本当に面白かった。
この本は、たとえば仕事でお世話になった人を悪くいうことに不快感を覚えるような人にはお勧めできない。だけど、多少なりとも人を騙して、そして何よりも自らを騙して生計を立てることを選んだ人間を憎むこと自体は、まったく普通なことである。暗い少女時代から、人々に愛されることを求めて芸能界に入ったのち、彼女が陥ってしまった状況は、結局、他人に利用され、みずからもそれを利用せざるをえないような、霧のように不透明な世界だった。そこでは自分と他人は完璧に区別されていて、他人の身体や心もすべてごっそり自分が生きていくためだけの道具として、一時的に利用され、骨抜きにされ、捨てられていく。そういう世界をもし「大人の社会」というのなら、それに抵抗することで、眼差しの輝きだけはなんとか保とうとすることは、人間として当然のことだ。そこだけは柔軟になるべきじゃない。だから、途中自害を心配せざるをえない不安定さだった彼女が、苦境を乗り越え、生きていてくれて本当によかったし、アイドルという職業を(どちらかといえば破壊的に?)拡張している今の活動を応援していきたいと、心から思う。
最後に、2008年10月8日の日記の言葉(これはネットでも読むことができます)は、深さを貫いて透明な振動に達していて、本当にどうしようもなく心を揺さぶられた。