まさにディスカバー・ジャパンといったテイストでせまる、日本独自のおどろおどろしい風土をもつ鬼首村で起きるなぞの連続殺人事件。それにいどむ金田一の名推理もさながら、彼と事件を担当する磯川警部(若山富三郎)との友情、また村の旅館のおかみリカ(岸恵子)へ寄せる磯川のストイックな愛情など、ただ単に探偵推理映画のおもしろさだけでなく、ここには人間の業や悲しみ、そして愛といったものが見事なまでに凝縮されている。
ラストの金田一の磯川の駅の別れ。その際、ホームの柱に書かれてある言葉にも注目してもらいたい。なお、この作品まで石坂は地毛でボサボサ頭の金田一を演じている。(的田也寸志)