結局人より頑張ってるってことしか伝わらない
★★★☆☆
率直な意見は、インタビューした人数が多すぎて一人当たりのページ数が10ページ以下になっているということで内容が薄い感じが否めないかなと思いました。
一人当たり3倍ぐらいのページ数で構成したら、もっと内容の濃い物になったはずだと感じました。結局人一倍頑張っている、強運の持ち主、とかそのような類の印象が強くなってしまっているのではないでしょうか。
物足りない印象が強くて、もっと掘り下げて突っ込んだ内容に仕上げてくれればアスリート自身への印象が変わったり応援する気持ちがわいたりしたかもしれない。
トップアスリートとは一流の哲学者である。
★★★★★
文字通り、「トップアスリート」35名のインタビューが一度に読める、豪華な1冊。松坂大輔、田中将大、朝青龍から、先ごろのオリンピックで大活躍した、北島康介、上野由岐子、伊調千春・馨まで、幅広くバランスのよい人選に著者のスポーツに対する造詣の深さを感じる。何より驚くのは、彼らが自分を語る時の表現力とその言葉の深さ。よく言われることではあるが、自分の目標に向かってトレーニングを積むトップアスリートたちが、血のにじむような努力を重ねて鍛えているのは、決して肉体だけではないのだということを改めて思い知らされる。真摯な姿勢で彼らに向き合い、珠玉の言葉を引き出し綴った、小松成美氏の力量に感服!
35のストーリー
★★★★☆
メジャーリーガーの松坂からパラリンピック高飛び鈴木選手まで、35選手のそれぞれの競技人生にスポットをあてたインタビュー集。それぞれのアスリートの考え方や取り組み方など、個々に違いはあれど、トップを目指す気持ちは同じ。世界に挑む彼らの本当の強さが読み取れるようだった。
愛知県立犬山高校(桑原康志校長)では“教科書”に採用か。
北島や末續や宮本の言葉に戦慄
★★★★★
北京オリンピックを観戦しながら読みました。一度負けたら終わりとか、日本という国を背負い、多くの人たちの声援を受けて戦うことの責任感や恐怖と向き合う彼らの言葉には、戦慄を覚えました。
例えば水泳の北島康介は「大好きな水泳が自分を痛める競技であることを認めたうえで、付き合っていきたい」と。陸上の末續慎吾は「腹筋を2000回やろうと決めるんです。やり終えても、本当にこれで十分なのかと不安になる。それで『意識を失うまでやる』という自己ルールをもうけました」と。野球の宮本慎也は「生きることに懸命でない人間は、野球でも良いプレーなどできるはずがない」と(あ〜、宮本に監督をやってほしかった!)。
こんな、合理性とか効率が最優先される時代にあって、常に極限状態に身を置く彼らの言葉や生き様は鮮烈すぎます。
著者は、「彼らは弱い」と評し、普通の人間であると記してますが、そんな弱さから逃げることなく向き合い戦い続ける彼らは、やっぱり「強い」と実感しました。