神が作りし人、人が作りしサイロン
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THE PLAN、すなわち人類抹殺の計画がなぜ失敗に終わったのか。サイロンの指揮官的存在であるナンバー1「キャビル」を中心に、舞台裏の全貌が明らかにされていきます。
傲慢で罪深き存在である人類に対し、キャビルは徹底した嫌悪感を抱いていました。しかし、それは、人類こそが、我が身サイロンを映し出す鏡だからなのだと思います。つまり、完璧な存在であるはずのサイロンが、実際には、「神が作りし人、人が作りしサイロン」として、その不完全さをそっくり受け継いでいることが、キャビルには許せなかったのでしょう。
そして、本当は、その不完全さを含めて、生みの親であるオリジナルサイロン「ファイナル・ファイブ(あるいは人類)」に、ただただ愛されたく、我が身の存在そのものを肯定して欲しいという、哀しき存在であったことが分かります。
そう気づいたとき、このPLANは初めから失敗する運命にあったことを、ナンバー1は悟るのです。神の許しとのなんたるかを・・・。
なお、シリーズ前半頃の、人型サイロンの奇妙な行動の舞台裏が丁寧に描かれているので、なるほどそうだったのかと疑問が氷解すると共に、圧倒的な強さを誇っていた(はずの)人型サイロンが、内部では意外に苦戦していたことが良く理解できます。
それにしても、シリーズをサイロン側から描くことで、これほどまでに作品に深みを与えられるとは本当に驚きです。
確かにシリーズを見直したくなります
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監督のエドワード・J・オルモス曰く「これを見終わったらシリーズ全部を見直したくなる」とのことでしたが、まさにその通りの作品です。
BATTLESTAR GALACTICAはとても面白い作品で、私は全シリーズを2回見ています。特に「2周目」は面白いんですよね。色々な伏線を確認できますから。ほんの小さな演出がその後に起こることを示していたりするので2回目と言えども気が抜けません。結構あれこれチェックできたと思っていたのですけど、THE PLANを見た後は「3周目」突入を決意しました。
ジャケットを飾っているのはシャロンとブーマーとNo.8ですが、THE PLANの語り部にして主役と言えるのはNo.1でしょうね。彼を中心にしてシリーズを裏側(サイロン側)から確認するような内容です。彼の持つ「恨み」、彼が持つに至った「許し」、「サイロンはコピーで人格も基本的には同じだけど、環境の影響で個性が生まれている」等に注目でしょうか。サイモン(の一人)の決断には心が痛みましたよ・・・。
注意点としては、この作品を見る前にドラマシリーズを見ていないと訳が分からず(面白いとは思いますが)、且つ重要な部分のネタバレがいきなりあるという点でしょう。完全にファン向けのアイテムなんですよね。
とはいえ、ファンの方であれば買って損はありません。出来れば日本語対応のブルーレイも発売して欲しいですね。