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ゴールド・スタンダード

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: ブックマン社
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リッツのマネジメント ★★★★★
リッツ・カールトンについての紹介本は幾つも出版されていますが、本書は、社外の方によるリッツのマネジメントについての紹介本です。

リッツの紹介本は何冊か読みました。それらの本ではいかに高いホスピタリティが提供されているのか、という点での豊富な事例の紹介があり、クレドを始めとした信念や若干の手法が紹介されてはいますが、何故それほどまでに高いレベルでのホスピタリティが可能になっているか、については疑問が残るものが多かったと思います。

本書はそれらとはやや異なり、一流のホスピタリティ事例の紹介に留まらず、その裏にある様々な考え方や手法がこれでもか、というぐらい紹介されています。
クレドがベースにはなっているのですが、それらをどれだけ現場で実際に展開していくかという観点から、大きなものから小さなものまで実に様々な仕掛け、仕組みが張り巡らされていることがわかります。

本書を読むことで、企業が信念を貫き通すためには、どれだけのことをやり続ける必要があるかが、よくわかります。

本書は、ホスピタリティ産業やサービス業の方々にとっては勿論ベンチマーク対象になるとは思いますが、それだけではなく、全ての企業や組織が参考にできるものが盛り込まれています。


また、他の紹介本では、リッツのホスピタリティの成功事例のみを紹介していることが多いのですが、本書では失敗事例や失敗から学んだことも盛り込まれており、リッツとて最初から完璧だったわけではなかったこと、様々な愚直な改善・浸透を続けて今のリッツがあること、がよくわかります。

これらの紹介からも、普通の企業や組織が一流になるために、リッツのマネジメントを参考にして、取り入れることができるのではないか、と思わされます。


机上のマネジメント理論や、斬新なマネジメント手法を学習することも大事だとは思いますが、本書のような、生の企業が継続して信念を貫き通すためのマネジメントを紹介している書籍から学ぶことのほうが有益だと思います。
335ページに凝縮された「リッツ・カールトン」のすべて ★★★★★

リッツ・カールトンがサービスを生み出す仕組みを、インタビュー等の
内部分析を通じて解明した本です。
335ページに凝縮された内容のみならず、手元に置くのに良い装丁も、
本書の良さでしょうか。

以下、気付きを得た・印象的だった内容を記します。
*サービスの仕事とは
 ・9時から5時までというわけにはいかない
 ・「いつも準備ができている」というのが大切
 →これを個人で賄うのは大変。だからこそ、仕組みを作り、たとえ
  人が変わっても情報を共有していて対応できることが必要ですね。
  経営側や本社・スタッフ側が、これを疎かにして現場に皺寄せが
  いく会社をよく見かけます。他山の石にしたい。

*「結局、ビジネスは人である」
 →ビジネスを動かすのは、人ですな。
五ツ星の本ですね! ★★★★★
私は士業もサービス業と思っております。
そのためリッツカールトン関連の本はいろいろ読みました。

この本はかなり内容が濃く、教育や人材育成についても
触れているので非常に参考になりました。

私はESやクレドを手がけていきたいと思っているので
この本はバイブルです。

読み返す度に新たな発見がありそうです。
多くの人々に読んでもらいたい ★★★★★
この本は、ラグジュアリーホテルチェーンの代名詞ともなっている「ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニー」における企業文化や理念を紹介したオフィシャルブック「The Gold Standard」の翻訳版です。


国内では大阪と東京に所在する「ザ・リッツ・カールトン」ホテルの独創に満ちたサービスやクレド・カードにまつわることについて述べられた本は、既に数多く出版されていますが、それらのなかにはある種の「ミスティーク(神秘性)」並びに「2000ドルのエンパワーメンント」について強調がなされ過ぎているようなもの、あるいは貴重な記述があるものの著者が唱えておられるホスピタリティの重要性を学ぶべきか、豊かな着想の方がより重要なのか迷いそうになるものが多いとも感じておりました。

なぜならば、このホテルのグレイドの高さは、快適な宿泊のための第一義であるハウスキーピング、ベル、営繕を始めとするホテルサービスのベース部門のレベルが極めて高いこと、そのうえでなおかつスタッフそれぞれの「ホスピタリティ・マインド」やセクションを越える「コンシェルジュサービス」、状況に応じた「ミスティーク」といった卓抜した付加価値が備わっている故と思われるからです。特に大阪のリッツには、そのことが色濃く感じられます

今回出版されたこの翻訳版では、歴史に残るホテリエとして高名ではあるが和書では紹介されることが少なかったセザール・リッツ氏の生涯にふれることから始まり、「方針」と表記された5つのテーマに沿いながら、このホテルチェーンが大切にしている価値について理解・習得に繋げるステップと実践するさいのポイントについて、多数の実例を交えながら非常に詳しく解説されています。
各章のいずれにも多彩なエピソードが織り込まれているためビジネスでの視点以外でも、とても興味深く読むことが出来ました。

ちなみに本編のなかで最も印象深かったのは、クレド・カードに記載されている「モットー」誕生のきっかけとなった前COOホルスト・シュルツィ氏がホテル学校で学んでいた時代に書いた「紳士淑女をおもてなしする紳士淑女」という題名の作文についてのエピソードでした。涙腺が少し緩みました。短い文面ではありますが、一読する価値がある出色の逸話です。
 
私見ではありますが、「ザ・リッツ・カールトン・カンパニー」の企業文化と理念の枢要は、セザール・リッツ氏が残したその時代色をも先取りするイノベーションスピリッツという遺産に、ホルスト・シュルツィ氏が見出した「紳士淑女をおもてなしするわたしたちもまた紳士淑女です」という実に奥深い意味がこもった「モットー」が付随していることに大きな特徴があるのではないかと感じております。
そしてこれに、各セクションでのスタッフの思いやりあるサービスが添えられていることが、このホテルチェーンの品位・品格に結びついているのではないかと思いました。


なお、この本の巻末には特別収録として、英語によるオリジナル版には無かった「ザ・リッツ・カールトン大阪」の現総支配人であるマーク・ノイコム氏による「ザ・リッツ・カールトン大阪、成功の秘訣」と銘打った、「ゴールド・スタンダード」から「20のベーシック」さらに「サービス・バリューズ」へと進化をしたこと、「ゴールド・スタンダード」と「クレド・カード」との関連についての丁寧な説明のほかにも、心温まる2つのエピソード、大阪独自のプロセスで生まれたプロポーズプランの紹介、あるいは積年に亘り積み重ねている地域貢献活動がもたらす成果、卓越したサービス追求へのチャレンジ等について語られた興味深いコメント記事が掲載されているのですが、その内容は相互の信頼から生まれる組織においてのサーバントリーダーシップ効果の優良な事例そのものであり、職種・職務の枠も超えた紳士淑女それぞれの創意工夫と情熱には感服しました。

特定の企業を例題にした本ではありますが、ホテル業界に係わる方々のみならず、より多くの人々に読まれることを期待したい秀逸な一冊であり、現在におけるこのホテルカンパニー関連書の決定版といっても差し支えないと思われます。

出版に係わられた多くの方々のご尽力に対し、心より感謝申し上げます。


PS
本書は、再読にも便利な工夫が施されているとともに、紙面のデザインも「リッツ」らしさが盛り込まれています。浅見ではありますが、感じたことのいくつかを付け加えさせていただきます。

1). 上質で読みやすい文体であり、再読もしやすい構成となっています。
これは、ホスピタリティサービスについてのみならず、ドキュメンタリー分野の良書も多く手がけられた月沢李歌子氏による翻訳であること、編集の巧みさ、加えて「ザ・リッツ・カールトン大阪」関係者の方の熱意が反映されたものと思われます。

2). 再読しやすい構成の例としては、各章内の節目において記されている「金の鉱脈を探そう」という題目のなかで、考察すべきテーマとチェックポイントが分かりやすく教示されています。

3). 各章の結びごとに記された「ニュー・ゴールド・スタンダードを実践する」という題目のなかで、実践または試行を行うさいの勘どころ・肝要なこと等が箇条書きで教示されており、理解しやすい記述となっています。

4). 企業理念・信条にも通じることや、特記事項等については青色系のトーンが施されているので、重要事項の再読・再確認がとてもしやすい表し方となっています。
重要事項の例としては、上記の「ニュー・ゴールド・スタンダード」、「ザ・リッツ・カールトン・ベーシック」、「サービス・バリューズ」並びに、セザール・リッツ氏、前COOのホルスト・シュルツ氏のエピソードや経歴等が挙げられるかと思っておりますが、これらは試行のさいのチェックあるいは企業文化の熟考等に役立ちそうです。

5). 紙面のデザインについては、文字色はこのカンパニーのテ−マカラーであるブルーが使用されているほか、ロゴマークの「ライオン」が各章内の見出しの上に、続く小見出しでは「ブルーゴブレット」がそれぞれ付記されています。こうしたトレードマークの上手な活用もユニークでした。