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蟲笛

価格: ¥1,365
カテゴリ: コミック
ブランド: 青林工藝舎
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「実話を見事に恐怖漫画化した傑作短編集」 ★★★★★
 私が定期購読し始めたここ数年は怖くなりすぎないB級のホラーエンターテイメント誌のイメージが強いホラーMですが、ホラー専門誌としての長い歴史の中で斯様な傑作を輩出していた事を知り驚愕致しました。
 表題作「蟲笛」以下掲載された5作品は如何にも少女漫画的な画風なれど、作話と演出力は山岸凉子さんに匹敵する鋭さが有り、すべて心胆寒からしめる作品です。
 他のレビュアー諸氏がご指摘の通り実話を翻案した4作品、児童虐待物を被虐待児童と周囲の主観を入れ替えながら描く中で虐待父の描写のみ人外の物とした「傷の軋み」、少女拉致監禁事件を加害者の母親と近隣の観点から描いた「葉隠しの家」、本作内では知名度が高い女子高生コンクリート詰め殺人事件を題材に徹底的に被害者の主観で描いた「蟲笛」、加害者家族の少女を主人公に負の感情連鎖がテロリズムにまで発展する様が凄まじい「ハイエナの粉」があまりにも凄惨な為、単独では充分怖い巻末の怪奇物「嗤う花」がユーモラスに感じられる程でした。

 先に述べたホラーMのぶんか社から出ていた単行本を再構成・再刊して下さった青林工藝舎さん にも感謝致します。こうして埋もれた名作を再読出来たのは幸甚でした。 
「まえがき」の表題作秘話が、また… ★★★★★
収録作5本全ての絵柄は正調少女マンガと言えますし、登場する少女達はいずれも愛らしいです。
それでいて生ぬるい印象は全くありません。
劣悪な環境に囚われ骨と皮になる肉体、殴打されボールのように腫れ上がる顔面、そういった凄惨さは
水で薄めたりせずに描かれています。

作品の扱う題材は収録順に「児童虐待」「幼女誘拐監禁」「少女誘拐監禁」そして「凶悪犯罪加害者の家族」。
いたずらに感情を煽るような台詞は見当たらず、読み手は状況の目撃に徹する事ができます。
にもかかわらず、各話のパワーゆえか、私は読後に何か突きつけられたように感じられました。
そして単行本冒頭、まえがきと描き下ろされた絵がまた、尋常でなく鬼気迫っています。

ところで、最後を飾る『嗤う花』は「恐怖の転校生」物という、この単行本中では異色の正統派ホラー(ちょいグロ要素あり)ですが、
前述4話の後で、完全に一服の清涼剤となっているのが凄いです。この作品のおかげでかなり読後感が救われました。
著者には今回未収録の、ハードな題材の作品群がまだまだ有る筈なので、こういうハード4:ホラー(ギャグ?)1、
という比率で、ぜひまた一冊読みたいものです。
共喰いの物語 ★★★★★
本書は現実に起こった事件を基に書かれています。
しかし私はこれは共喰いの物語だと思いました。
弱い人間がさらに弱い人間を捕らえ、生きたまま肉を削ぎ、血を啜り、骨をしゃぶっていく様子を描いた物語です。
最後まで読み終わったあとも喰われていく人間の絶望的な叫び声が耳を離れません。
喰った人間も、喰われた人間も全く救われません。
この物語はフィクションです。
しかしこのおぞましい物語は私たちの身近に潜んでいるのではないか。
そして私も共喰いの連鎖に巻き込まれるのではないか。
そんな不安に襲われます。
悲しい ★★★★★
生きていくためには、辛いことや困難がいくつもある。
それを幸せで補うから明日も生きる気になる。

そう信じて生きても、何かのはずみで底なし沼に沈んでしまった人々の悲しい物語だと思う。
読むと涙が出てくる。